「白久保のお茶講」を体験した。中之条町に伝わる、4種類のお茶を7回飲んで当てる闘茶(茶勝負)だ。7月に中之条ユネスコ協会が主管した県ユネスコ連絡協議会主催の視察研修会である。

 お茶の材料は甘茶、渋茶(煎茶)、チンピ(ミカンの皮を干したもの)をいって茶臼でひいたもの。その味と香りを真剣に覚えて闘ったが、なんとも難しい。このお茶講は、鎌倉から室町時代に武士の間で行われた闘茶の流れをくむと言われ、全国唯一のもので、国指定重要無形民俗文化財となっている。

 日本ユネスコ協会連盟では「プロジェクト未来遺産」として、「水戸の歴史遺産(偕楽園と弘道館)の魅力を子どもたちに伝える活動」など、全国37都道府県で73の未来遺産を選定している。地域の宝物を100年後の子どもたちに残そうと、身近な文化・自然を守り伝える市民活動を応援していくことが目的だ。

 少子高齢化、過疎化といった地域が抱える課題や生活スタイルの変化などにより、町並みや祭り、民俗芸能、景観、生物の生息地などの保護・保全、継承が困難な地域遺産を守り伝える市民活動として、時代に合わせた継承方法や新しい視点を提示してくれる。未来遺産運動では、持続可能な開発目標(SDGs)17のうち4(質の高い教育をみんなに)、11(住み続けられるまちづくりを)などを主な対応目標としている。

 県内のユネスコスクールでも、地域の文化遺産・自然環境をプロジェクトとしている学校が多い。藤岡市では美九里西小の世界遺産「高山社跡」、鬼石小の鬼石夏祭り・祭り太鼓などだ。みなかみ町では全校のユネスコスクール加盟を目指し、「SDGs未来都市」「ユネスコエコパークの町」として、人と自然が共生したSDGsの優れた取り組みを発信している。

 第2次大戦後に設立されたユネスコの理念は、「心の中に平和のとりでを築く」だった。現在では、平和とともに「持続可能な開発」を包括的な目標としている。持続可能な開発とは、経済・社会・個人の生活のありようも含めて、全ての人々が未来の世代にわたって人間開発を目指すことでもある。国連開発計画(UNDP)では、人間開発のための最も基本的な能力は、健康で長生きをし、十分な知識を持ち、適正な生活水準を保つために必要な資源を利用でき、地域社会の活動に参加できることであると述べている。

 人生において多くの機会を逸することなく、できること、なれるものの幅を広げること、そのために人間の能力を育てることが基本だと認識し、ESD(持続可能な開発のための教育)による持続可能な社会づくりの担い手の育成を通じて、SDGs全ての目標達成に貢献したい。



藤岡地方ユネスコ協会会長 岸正博 藤岡市東平井

 【略歴】県ユネスコ連絡協議会副会長。藤岡東中や藤岡神流小などの校長を歴任。定年退職後は藤岡市教育研究所長、松本大非常勤講師を務めた。国学院大卒。

2021/08/13掲載