今回は新型コロナウイルスワクチン接種について、7月末時点の館林邑楽地域の状況をお話しします。

 3月に始まったワクチン接種ですが、国からの指示が次々に変更され、当初の予定からどんどん方針が変わっています。膨大な数の住民が接種できるよう工夫を重ねても、肝心のワクチンが希望通り配られない状況です。国の指示に左右されながらも、各市町村の職員は住民のため、努力して接種を進めています。

 今回のワクチン事業は予診や接種だけではありません。予約管理、ワクチン発注から在庫管理、繊細なワクチン充填(じゅうてん)作業、当日のキャンセル対応(余りを破棄することは許されません)、接種後の速やかな記録など、本当に多くの業務があります。少ないスタッフのクリニックで診療の片手間にできる内容ではありません。専用時間を設けても多くの人数には対応できないでしょう。診療や休み時間を削っても、医療スタッフへの負担はかなりのものです。

 さて、当地域ですが、以前の本欄でお伝えした通り医師数が少ないため、何をやるにしても工夫が必要です。今回は各院で少しずつ対応していては、膨大な人数への接種と適切なワクチン管理は難しいと考え、6市町とも集団接種方式としました。また、1郡市医師会で6市町をカバーしているので、市町の境を越えて各市町の接種会場へ医療スタッフを派遣し合いました。各医療機関の看護師と事務職員も参加し、予診票チェックや接種、接種介助、経過観察などを担当。薬剤師会にも薬剤充填などでご協力をいただきました。

 平日は昼すぎ午後の時間と、午後休診の多い曜日は午後に多めに時間を確保して実施しました。国から7月末までに高齢者を終わらせるよう通達があり、土日祝日も充てています。あらゆる医療スタッフ、市町職員が集まり、時間を何とか工面し、地域の医療資源を集中させて乗り切ろうとしています。8月以降もおおむね現状の方針で実施する予定です。

 今回のワクチン事業はかなりドタバタしました。国が現場を把握せずに、数字だけを見て口を出したのでしょう。ワクチンを計画通りに配り、具体的な予約や接種は市町村に完全に任せていればここまで混乱しなかったでしょう。実際の接種に携わっているのは市町村職員、そして地域の医療スタッフです。市町村職員は通常業務をこなしつつ、医療スタッフも診療の合間を工夫し、ワクチン業務も行っています。地域総出で対応しており、その団結力は目を見張るものがあります。

 早く接種したいためか、職員への苦情があると聞きます。お気持ちは分かりますが、会場で市町村職員や医療スタッフにねぎらいの言葉を頂ければありがたいです。もう一息です。



こやなぎ小児科院長 小柳富彦 館林市富士原町

 【略歴】2006年開業、11年に病児保育室を開設する。館林邑楽地域の小児医療、子育て支援に関わる。館林市邑楽郡医師会理事。農大二高―自治医大医学部卒。

2021/08/08掲載