5月の展示会が無事終わった。大勢の来場者の中には本欄の読者の方も少なからずいて、応援の言葉をいただくなどうれしい反響を実感した。そして熱心に鑑賞する人たちを見て、もっと身近に盆栽と触れ合う場があればすてきなのにという思いを強くした。

 多くの人を魅了してやまない日本の伝統文化、盆栽。当会の会員は一生の趣味として続けている人がほとんどである。平均年齢は75歳だが、皆はつらつとしていて活動的。盆栽から元気をもらっているそうだ。最近は若い人の間でも話題になってきていて、特に都心を中心にミニ盆栽がはやっているようだ。

 このような人気に対し、展示会以外で実際に鑑賞できる場は極端に限られている。公立の施設として大宮盆栽美術館と昭和記念公園盆栽苑(東京都立川市)、他は小林國雄氏の春花園BONSAI美術館(東京都江戸川区)のように個人が運営するところがいくつかあるだけである。

 盆栽園もあるが、もちろん鑑賞するための場ではない。栃木県や埼玉県まで行くと盆栽を取り扱っている大きな園芸センターがあり、気軽に立ち寄れるものの、完成品でなく購入して仕立てるためのものがほとんどだ。

 そこで提案したい。盆栽を常設できる施設を設けてはどうだろうか。

 愛好家が持ち回りで展示する盆栽や管理を担当すれば、バラエティーに富んだ木を鑑賞できるし、同時に盆栽好きな人たちの憩いの場になる。

 都心から近い本県に設立すれば、外国人観光客の需要も見込める。2010年3月末に開館した大宮盆栽美術館の外国人来場者数は年々伸び、09年度と10年度の計1558人に対し、コロナ禍前の19年度は6720人に上った。コロナ禍で自宅で過ごす時間が増え、世界の盆栽人気は加速している。外国人観光客の受け入れが元に戻れば、盆栽のために日本を訪れる人たちも一層増えるだろう。

 もちろん、新しい施設の開設となるとハードルが高い。まずは簡単に取り組める方法として、さまざまな公共施設の一角に盆栽を飾るのはどうだろうか。例えば受付の横に四季折々の盆栽が置いてあれば、その美しさに訪問者も癒やされると思う。

 以前、桐生市役所地下の中庭に盆栽が飾られていたことがあった。隣の食堂は盆栽を眺めながら飲食できる穴場スポットだったが、コロナ禍で食堂が休業するなどの要因もあり、残念ながら現在は置かれていない。

 「盆栽は何十年何百年と成長していくものだから、自分が所有しているというよりも、次の人に受け継ぐまで一時的に借りているようなもの」と、愛好家から聞いたことがある。皆で育て、皆に鑑賞してもらうことを意義とする盆栽。皆がめでて楽しめる場がもっと増えればいいと思う。

 【略歴】2018年に盆栽を始め、19年からインスタグラムで魅力を発信。フォロワーは国内外で2万人超。21年、日本盆栽協会で2人目の女性支部長に選出された。

2022/6/28掲載