東京五輪は連日、各競技でハイレベルな闘いが繰り広げられています。世界的な祭典が日本で行われるという、人生で1度あるかないかの出来事にワクワクし、毎日テレビにかじりついています。

 五輪は全ての国・地域の選手に平等に開かれた大会で、平和の象徴だといいます。普段は日本が一つになるという感覚や他国との触れ合いを忘れてしまいがちですが、国をも超えたつながりを意識する良い機会になっている気がします。

 7月24日には自転車ロードレースが開催されました。国内でこれほど大規模な公道レースが行われるのは史上初ではないでしょうか。東京をスタートし神奈川県、山梨県を通って静岡県の富士スピードウェイまでの総距離244キロのコースです。交通規制やインターネットの生中継など、レースにまつわる全てが世界最高レベルでした。

 自転車ロードレースはワールドツアーという主にヨーロッパを舞台にしたレースが多く、日本ではこれまで開催されたことがありません。本場の選手がそろう大会で、観戦に足を運んだ方は、選手の鍛え上げた脚から繰り出されるパワフルな走りやゴール後の悲喜こもごもの表情を目の当たりにし、会場と一体となる感覚に高揚したのではないでしょうか。もちろんテレビ中継でも、克明に映し出された本格的なレースに興味を持たれた方も多いと思います。競技時間は6時間という長丁場でしたが、見覚えのある景色の中を走る選手になんだかうれしく、誇らしくも感じました。

 私は運よく男子マウンテンバイクを観戦することができました。静岡県伊豆市では徹底したコロナ対策の下、有観客での開催となりました。熱中症対策にも取り組むホスピタリティーの高さには、これまでの準備と苦労が垣間見えました。有観客で行われたことに賛否両論はありますが、私自身は感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 会場の伊豆MTBコースは収容定員(1万1500人)の半分を上限に観客が入りました。ソーシャルディスタンスを保つことや消毒を徹底すること、興奮する気持ちをセルフコントロールすることは重要ですが、時に「密」状態になってしまうのも事実です。コロナ下でスポーツイベントを継続させることや、経済効果の面での課題も考えさせられました。

 今大会は、特別な環境下での開催ですが、選手の活躍を目の当たりにした子どもたちは「頑張ればいつかあんな人になれるかもしれないぞ!」と本気で思うでしょう。そんな夢を持てる大舞台が今、この日本で開かれているのです。またいつもの五輪に戻った日には、日本の自転車選手が世界にメッセージを届けられるよう、協力していきたいと思っています。



群馬グリフィンレーシングチーム監督 渡辺将大 沼田市桜町

 【略歴】前橋育英高で自転車ロードのナショナルチーム入り。中央大で学生ロードランキング1位。大学を中退して豪州留学。帰国後、サイクルショップタキザワ入社。

2021/08/03掲載