▼仏像を作ったり社寺の修復のために金品を募る「勧進」の仕組み。古くから神社仏閣の事業を支えてきた資金調達の手法は、クラウドファンディング(CF)の元祖とも言える

▼インターネットを介したCFサービスは返礼品のメリットや手軽さもあって一気に浸透した。地域を限定せず、檀家(だんか)以外からも広く協力を得られるため、最近は寺社がCFを活用するケースも増えている

▼中之条町の清見寺は、寺に伝わる妖怪退治の伝説にちなんだ刀剣と袈裟(けさ)の制作費をCFを通じて募っている。目標額は350万円で期限は8月17日。完成品は寺で公開する計画だ

▼1622年、同寺の中興の祖である鹿野和泉守の葬儀に現れた妖怪「カシャ」を退治したという逸話は、そもそも檀家にもあまり知られていなかった。今年は伝承から400年。伝説を広く知ってもらうきっかけにしようと、長田正澄住職が刀剣と袈裟の制作を発案した

▼本来なら檀家から資金を募るところだが、「えたいの知れないものに立ち向かった祈りと勇気の物語を、コロナ下の今こそ皆に届けたい」。長田住職はCFを通じて多くの人に協力を呼びかけることにした

▼現時点で金額は目標の9割を超え、支援者の3割は檀家以外という。目標に向かって皆が熱量を共有し、支援の広がりが見えるところもCFの特徴だ。寺の伝説を地域の力へつなげていく挑戦を見届けたい。