NPO法人よいおやさいの農業ボランティア活動に大学生の参加者が増えています。理由を聞くと、農業や農業関係の仕事を卒業後の進路候補の一つとして考え、農作業を体験してみたいという答えが返ってきます。

 就きたい職業の中に農業の分野が選ばれるのは、農業を支援する私たちにとってとてもうれしいことです。一方で、都心での仕事を辞めて就農を志すものの、収入の低さや作業の大変さなどを理由に農業を諦めてしまう人が多いのも事実です。新型コロナウイルスの感染拡大で経済情勢や職場環境が変化したことが大きく影響しているのだと思いますが、仕事が長続きせず転職を繰り返してしまうというニュースも目にします。

 新たな仕事を始めるときや仕事を継続するために重要なことは「熱量」ではないかと考えます。ここでいう熱量とは、単に「やりたい」と思うだけでは足りません。「どんなことをどれくらいやりたいのか」という目標と、それを達成するまでのイメージをできる限り細かく描き、その過程の大変さを知った上で「それが自分の本当にやりたいことなんだ」と思うことです。

 以前、家業である農業を継いだ方に、その理由を尋ねました。「食いしん坊だから」とおっしゃっていましたが、食べることが好きという理由だけでは続けられません。自分がイメージするおいしい野菜を作って食べたいという高い熱量があったからこそ、独学で無農薬農業を試行錯誤する手間をかけて、おいしい野菜を作っていらっしゃるのだと思います。

 こうした明確な目標達成までをイメージした熱量を持っていないから、想定外のささいなことで諦めたり、転職することを選んだりしてしまうのではないでしょうか。そして目標に向かって挑戦を始めたら、その熱量を維持することが重要です。

 よいおやさいの活動が始まった当初からずっと参加してくれている方がいます。その彼に、ボランティア活動を続けているのはなぜかと聞いたことがあります。「体を動かすのが好き。活動が楽しい」という答えでしたが、彼は常に「頂いた野菜がおいしかった」「肥料運びで気持ちいい汗を流せた」と、どんなにささいなことでも達成感を覚えてくれています。その小さな達成感の積み重ねが活動の継続や熱量の維持になっているのだと思います。

 自分がやりたいことを見つけたら、まず、達成したいことと、達成するまでの大変さをできるだけ多くイメージし、それでも挑戦したいというところまで熱量を高めましょう。取り組み始めたら小さな達成感を実感して熱量を維持することが、やりたいことをやり抜き、目標を達成するための秘訣(ひけつ)だと考えます。



NPO法人よいおやさい代表理事 篠崎和彦 埼玉県朝霞市

 【略歴】東日本大震災でのボランティアを契機に、2013年、渋川市で農業ボランティアを開始。現在は同市北橘町でブルーベリー畑を管理する。東京都大田区出身。

2021/07/13掲載