病児保育は、発熱などで登園できないお子さんを保育園に代わって一時的に預かる保育システムです。両親が共に仕事を休めない場合や、祖父母が近くにいない場合などに利用されています。

 当院で10年前に始めた病児保育室は、核家族化や一人親家庭の増加、共働き時代を反映して順調に運営できていました。しかし今年、岐路を迎えています。利用者が大幅に減り、補助金頼りの運営がダメージを受けたのです。全国的に病児保育は厳しい状況に置かれました。

 まず、預かりについてです。病児保育は風邪などの感染症のお子さんを預かるため、もともと感染リスクが高い環境です。これまでは似たような症状のお子さんを同じ部屋で預かってきましたが、現在は、感冒症状だけではコロナかどうか分からないため1人1部屋が基本となり、預かる人数をかなり制限しました。感冒症状のある場合は預からない施設もあるようです。昼食を介助するので、万が一お子さんがコロナ陽性者だった場合、保育スタッフが濃厚接触となります。他のお子さんや保育スタッフを守るため、休園や感冒症状を断ることも仕方のないことでしょう。

 病気のお子さんを預かるという、病児保育本来の業務をしにくい状況が続いています。私自身は、保育士がガウンやフェースシールドを着けてまで保育に当たるのは少し違うと感じています。家庭の延長で預かりたいという理念があるからです。

 もう一つが運営です。もともと日によって利用人数に偏りがあります。体調不良は事前に把握できないため、当日になってみないと利用する人数が分からない事業です。しかし、預かりがない日も保育士、看護師はいつ何人来てもいいように準備しています。利用人数にかかわらず一定の人件費は発生します。病児保育は、保育料だけではとても人件費を賄えないため、国の補助制度を頼って運営しています。

 制度では、利用人数に応じて補助額が増えます。これまでは頂ける補助金で運営できていました。しかし、コロナ下で利用者が激減(当施設では前年比80%減)したため、補助が大幅に減り、大赤字です。経営難から閉鎖する施設も出始めるでしょう。この点は全国病児保育協議会から働き掛けて、昨年度だけはコロナ前の利用人数に応じた補助金を頂けることになり、少しほっとしたところです。

 病児保育は、コロナの前から安定運営が難しい事業でした。利用したいというニーズはあるのに、受け皿の運営が難しいのです。補助制度を見直し、コロナ下などの緊急事態でも安定した運営ができ、スタッフが保育に専念できるよう、国や自治体には制度の見直しをお願いしたいと思います。



こやなぎ小児科院長 小柳富彦 館林市富士原町

 【略歴】2006年開業、11年に病児保育室を開設する。館林邑楽地域の小児医療、子育て支援に関わる。館林市邑楽郡医師会理事。農大二高―自治医大医学部卒。

2021/06/22掲載