1974年に県和算研究会の第3代会長に就任したのは、当時、群馬大工学部教授の道脇義正氏だった。ほどなく道脇氏は「漢字文化圏とその近隣諸国の数学史・数学教育国際会議」を提唱し、87年に同大工学部で第1回会議を開催した。和算の源流は中国であり、中国からも和算に熱いまなざしが向けられた。

 第2回が92年、中国内モンゴル・呼和浩特(フフホト)で開かれ、私も妻と参加した。以後、ほぼ日本と中国で交互に開催され、日中の文化交流が続いている。第5回は2002年に中国・天津市で開かれ、異郷の地で道脇氏は傘寿のお祝いを受けられた。

 会議はその後も続き、第6回が東大駒場キャンパスで、第7回は中国・天津市で開催され私も中国を訪れた。この会議のおかげで中国の著名な数学史家の方々に知己を得、視野を広げることができた。しかし、昨今の政治情勢や新型コロナウイルス感染症の関係で中断気味なのが残念である。

 一方、国内の和算研究活動は、大きなブロック(東北・関東甲信越・近畿・中国四国九州)単位での交流が比較的活発だった。それを全国規模に拡大しようと、日本数学史学会と開催地区和算研究会が共催する形で、全国和算研究大会が発足した。第1回を05年に長野県木島平村(算額数が県内随一)、第4回を中之条町(和算家の剣持章行の出身地)、第14回を県和算研究会が主体となって栃木県佐野市(同市内の星宮神社に日本で最古の算額がある)で開催した。

 北は東北から南は九州まで、全国各地で計15回行ってきた。昨年は長野県で開催する予定だったが、コロナ禍のため中止となった。今年は秋田県での開催を予定しているが、予断を許さない。

 この全国和算研究大会には近年、外国人も参加し、国際化の様相を呈している。留学生や中国、台湾の方も和算、特に算額に関心が高い。やはり算額には人を引き付ける何かがあるのだろう。一般に図形問題が多く、しかも着色されていて目を引く。漢字で書かれているが、中国や台湾の方は日本人より理解が早いように見受けられる。

 今後、新型コロナウイルスと共存できるスタイルで国内外の和算研究家が交流する機会が実現するとすれば、会場には高崎市に昨年開所した大型コンベンション施設「Gメッセ群馬」を提案したい。本県を軸に、和算研究会がない県を含めた北関東の魅力度を高める場になるのではないだろうか。「和算王国群馬」を国内外に発信していきたいと考える。

 その際は関係機関、特に県や県教育委員会の一層のご支援を賜りたい。



県和算研究会副会長 中村幸夫(藤岡市岡之郷)

 【略歴】県和算研究会、日本数学史学会所属。民間企業を定年退職後、労働安全衛生コンサルタント業務の中村エス・ファイブ事務所設立。藤岡高―群馬大工学部卒。

2021/6/19掲載