田植えのシーズンを迎えた。今やスマートフォンを操作して動かせる田植え機もあるという。車の自動運転も現実のものとして考えられるようになってきた。

 今後の社会の姿として、Society(ソサエティー)5.0、人生100年時代、グローバル化などが挙げられている。ソサエティー5.0とは、AI(人工知能)、ロボット、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)などの先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会の在り方そのものが大きく変化する超スマート社会の到来をいう。

 ソサエティー1.0の狩猟社会、2.0の農耕社会、3.0は工業社会、4.0は情報社会、そして5.0は創造社会という未来の姿を、政府は第5期科学技術基本計画で打ち出している。情報があふれている現在(4.0)の課題に対し、IoTやAIなどの最新テクノロジーを活用した便利な社会が5.0というわけだ。経団連は国連が採択したSDGsと絡めて「Society5.0 for SDGs」を掲げる。学術的な見地を踏まえ、地球温暖化やエネルギー、食糧、健康など地球が抱えるさまざまな課題に取り組む。

 人手不足や高齢化、異常気象などの問題が多い農業分野では、ドローンなどを利用した作物の生育状況の観察、ロボット・機械化による自動収穫などが考えられる。医療面では、個人の健康データと病院の過去の診断・治療データをビッグデータとして集め、AIが最適な治療法を医者と患者に示すことが可能になる。デジタル革新による創造社会でのSDGsの達成は、世界の人々がより幸福に安心して暮らせる社会づくりにつながるという。

 コロナ下における教育は「GIGAスクール構想」の下、小中学校で1人1台の端末を使った学びが始まった。新時代を生きる子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するためには、ICTの積極的な活用が不可欠とされる。

 人づくり、つながりづくり、地域づくりの推進が今後の地域における社会教育の在り方として明示され、AI技術が高度に発達する5.0の時代こそ、人と人との関わり合い、地域社会での多様な体験活動など、さまざまな場面でリアルな体験を通じて学ぶことが一層重要となる。ユネスコスクールでも地域社会や民間など多様なステークホルダー(利害関係者)と連携した学びの推進が期待される。

 子どものスマホとの付き合い方について、東北大加齢医学研究所長の川島隆太教授が研究データを基に、誤って使うと「子どもたちの未来を破壊する可能性がある」と警鐘を鳴らしている。最新の科学的知見とともに、情報社会から創造社会への未来の在り方を注視したい。



藤岡地方ユネスコ協会会長 岸正博(藤岡市東平井)

 【略歴】県ユネスコ連絡協議会副会長。藤岡東中や藤岡神流小などの校長を歴任。定年退職後は藤岡市教育研究所長、松本大非常勤講師を務めた。国学院大卒。

2021/6/18掲載