5月1日に太田市の東武太田駅周辺で「OTA CITY MARKET」が行われた。市の魅力を知ってもらうことを狙いに開催されていて、今回で5回目を迎えた。私が勤務する大学の学生たちも運営に関わり、盛り上げに一役買った。

 駅には人気スポットの市美術館・図書館が併設されており、駅構内にはエフエム太郎(おおたコミュニティ放送)のスタジオがある。同じく駅構内にある市観光案内所もリニューアルされた。観光案内はもちろん、市観光物産協会が推薦する市内の物産商品の販売やPRにも力を入れる。今後は地元ならではの食材や菓子、工芸品などに触れられる拠点になるはずだ。観光と物産のアンテナショップとして、上州太田の厳選された物産品を手軽に入手できる駅ナカ施設として、ぜひ多くのお客さまに気軽に足を運んでいただきたい。

 コロナ禍以来、当たり前にできたことができなくなり、ライフスタイルは大なり小なり変更を迫られている。もっとも不自由を感じるのは移動・集客の制限だ。在宅勤務やオンライン学習が急速に普及する一方で、出張や5人以上の会食、お見舞い、冠婚葬祭はもとより、地域の祭りや集会など、家族や住民が同じ空間に大勢集まる行事一切が、規模縮小や中止となる状況が続いている。

 こうした行事には前後の打ち合わせがつきものだ。ミーティングやワークショップ、茶話会や近所付き合いなど大小さまざまなつながりの中断は、出会い・学び・ビジネス上の協働の営みや親睦のチャンスを根こそぎ奪い取った。連携と交流の集積地として地域に場を提供してきた店舗・事業者は顧客と収入を一挙に失い、経営と雇用の継続に大きく支障を来している。私も愛着ある地元のレストランが5月でとうとう閉店し、残念でならない。

 閉店やイベントの見直しにより、これまで当たり前にあった家族・地域コミュニティーの場があちこちで失われている。もちろん最優先すべきは健康であり人命だ。しかし、距離の近さにずっと頼ってきた地縁社会は、オンラインへはそう簡単に移行できない。今最も必要なのは移動せず、大勢で集まらず、それでいて楽しめるような地域資源の新しい集積の在り方を探ることと、慣れ切った思考習慣や思い込みを変えることだ。

 シティマーケットの一環で、太田駅と太田市役所では自動販売機による物産販売が行われていて、人気となっている。対面しないですむからだ。近場で地元の魅力を自分で探し、楽しむスタイルも評価されつつあるのだろう。

 新しい形のにぎわいとお金の流れを取り戻すため、事業者や住民の皆さんにはできるところから始めていただき、地域の魅力を届けてほしい。



関東学園大准教授 山根聡之 太田市東別所町

 【略歴】2016年に関東学園大講師、18年から現職。専門は経済学史・社会思想史。和歌山市出身。一橋大大学院博士後期課程単位取得退学。博士(経済学)。

2021/06/16掲載