尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中国、弾道ミサイルを連発する北朝鮮…。日本の安全保障環境は緊迫度を増しており、ロシアによるウクライナ侵攻は対岸の火事ではない。15日に閉会した通常国会の期間中、衆院憲法審査会は過去最多の16回開かれ、議論が活発化した。

 憲法改正を巡り、自民、公明両党に日本維新の会、国民民主党などを合わせた「改憲勢力」が国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持するかが、参院選の焦点の一つになっている。

 上毛新聞の候補者アンケートで、憲法は時代に合わせて変えるべきかの質問に、群馬選挙区(改選数1)に立候補した5人のうち、「はい」を選択したのは自民現職の中曽根弘文氏(76)=公明推薦=のみ。他の4人はいずれも「どちらでもない」を選んだが、理由については温度差が見られた。

 中曽根氏は日本を取り巻く状況を踏まえた対応が求められており、教育環境の充実や選挙区の合区解消も必要だとし、「国会での議論を通じて国民の理解を深めていきたい」と答えた。政治団体「参政党」新人の新倉哲郎氏(43)は現行憲法が戦後の占領下で制定された過程に触れ、「一から見直し、日本人の手で『創憲』する」と主張した。

 一方、無所属新人の白井桂子氏(60)=立憲民主党推薦=は「改めるべきも追加すべきものもある」としつつ、「具体的な議論をすべきだ」とするにとどめる。共産党新人の高橋保氏(64)は「変える必要が生まれれば変える」としながらも、現段階で進む改憲への動きを「平和と人権保障という憲法の根本を踏みにじっている」とけん制する。

 改憲の議論を巡っては、戦争放棄と戦力不保持を定めた9条への自衛隊明記をはじめ、災害や他国による武力攻撃などの際に政府の権限を一時的に強める「緊急事態条項」新設などの改憲案4項目を掲げる自民に対し、立民は国民の権利保障や立憲主義に逆行するとして反発。共産は9条を含めて改憲に反対し、NHK党は論議を促す考えを示している。

 アンケートでは自衛隊明記について賛否が分かれ、N党新人の小島糾史氏(46)と新倉、中曽根両氏の3人は賛成、白井、高橋両氏は反対。中曽根氏は「9条1項・2項と解釈を維持しつつ規定すべきだ」、新倉氏は「国際社会は軍隊とみなしている」とした。

 一方、白井氏は「すでに自衛隊は国民に定着している」と指摘し、高橋氏は「予算が防衛費に取られ、福祉や暮らしが圧迫される」と批判した。

 緊急事態条項を盛り込むべきかについては、中曽根氏以外の4人が否定的な姿勢。新倉氏は「慎重に議論すべきだ」、白井氏は「内容が不明確」、高橋氏は「政府の暴走を防ぐことができなくなる」とした。