今回は飛行機の楽しさについて紹介します。19歳の時、宮崎にある航空大学校入学のため、群馬総社駅から国鉄(現JR)の急行列車で28時間かけ南宮崎駅に到着した時には疲労困憊(こんぱい)でした。

 入学後、急きょ群馬に帰る用事ができ宮崎空港から初めて飛行機に搭乗し1時間半で羽田空港へ、昼には群馬に到着しました。飛行機では疲労が少なく大幅な時間短縮ができることを体験しました。この体験から飛行機はタイムマシンであると痛感しました。

 この後、長距離移動は飛行機、中距離は鉄道、短距離は乗用車とすみ分けています。

 日本は島国ですので、国内や海外の観光や経済活動の活性化のため飛行機は必須の基本インフラであると思います。現在は世界中がコロナ禍で入国禁止や制限を課していますが、緩和後には、飛行機を利用し国内や海外の未知の地域へ出掛けてみてはいかがでしょうか。

 航空各社も厳しい経営環境で頑張っていますので皆さまには日本の基本インフラを支えているとの気概でご利用いただければと思います。

 最近ではLCCと呼ばれリーズナブルな運賃で座席提供をする航空会社などがあり選択肢が多くなりました。

 次にジェット旅客機の性能について紹介します。離陸時はエンジンの最大推力による加速感が日常で絶対に経験できないレベルのため緊張しますが感動もします。巡航速度は風向風速の影響を受けますが毎時約千キロ、4秒で1キロ以上進みます。これは音の伝わる速さに近い速度です。

 巡航高度は地上から12キロ付近の成層圏で外気温はマイナス約56度の中を飛行します。機内の気圧は与圧により高度2300メートル以下の高さになるように調整され、室温も快適です。旋回中は見かけの重力増により体重も増加します。旋回中に腕を持ち上げてみて下さい。少し重く感じられます。

 機窓の景色は初めての方には驚きと感動の連続です。北極付近では満天の星座や運がよければオーロラが見られることもあります。南北方向へ移動する場合、赤道を越え南半球では太陽が北側に、月の満ち欠けは逆、低気圧や高気圧の回転方向も逆です。季節も逆ですから、真冬から真夏になります。東西移動は日付変更線を越えると前日に戻る時もあり、時差ボケも体験できます。

 私の場合、欧州からの帰路、新潟沖に大きな島が横たわって見えたのですが、地図を逆に見てから松尾芭蕉のうたった佐渡島と認識できました。

 これらの未知の体験は物事の見え方や考え方を柔軟にしてくれるように感じます。

 着陸時は誰もが緊張しますが、日本の航空会社であれば心配無用です。タイムマシンの飛行機で日本や世界を巡り人生を楽しんでください。



航空大学校特任教授 梅村行男 宮崎市

 【略歴】航空大学校教官で宮崎の本校のほか、分校に勤務。文部科学省輸送計画委員会委員。元航空事故調査委員会(現運輸安全委員会)航空事故調査官。吉岡町出身。

2021/02/25掲載