農産物や家畜の盗難が群馬県や周辺で昨年相次ぎました。NPO法人よいおやさいも、渋川市で管理している14アールほどのブルーベリー園で2019年、20年と2年続けて被害に遭いました。

 初夏。花が落ち、薄青の実が徐々に濃い紫色に変わり、そろそろ収穫できると期待して畑に行くと、実っているはずのブルーベリーの実がほぼ全てなくなっていました。まさに1年の成果が無になっていたのです。

 よいおやさいのブルーベリー園は、ボランティア参加者の農業体験の場として、また、生産した農産物を販売し、その収益をボランティア運営の活動費に充てることを目的としています。

 ボランティアさんにとって自分たちの手で育てたブルーベリーを食べることは、楽しみなイベントでした。盗まれた時は、悔しいという気持ちよりも、一緒に育ててくれた多くのボランティアさんになんと言ってわびたらいいのかと、申し訳なさでいっぱいになりました。

 ブルーベリーの生産は、1年を通じた管理が必要です。収穫が終わった初秋から、翌年に向けた育成作業が始まります。秋から春にかけて追肥や剪定(せんてい)を行い、春から収穫までは雑草との戦いです。収穫時期には、完熟したおいしい実を選びながら手摘みしますので、ほぼ全ての過程が手作業なのです。

 この数年、農産物の盗難が増えており、年間3千件以上も盗難事件が発生しているといいます。盗難対策として防犯カメラの設置が挙げられますが、1戸当たり耕作面積が小さかったり、農地が点在していると対策費用が割高になり個人農家ではなかなか設置することはできません。

 盗難被害の発生しづらい環境づくりが必要なのではないでしょうか。割れ窓理論と同様に荒れた農地(耕作放棄地)がなくなることで、その地域の農地がしっかり管理されていると見せることができれば、盗難もなくなると思います。

 そのために、耕作放棄地を多くの人の手で管理する仕組みを作ってはどうかと考えています。一案として浮かぶのは、ファミリー農園のような形です。よいおやさいでも今後、こうした耕作放棄地の活用も進めたいと計画しています。

 周辺住民の協力も必要になります。関係者以外が農地に立ち入っていたら通報していただけるような関係を築くことができれば有効なはずです。よいおやさいでは盗難被害を受け、活動中はビブスを着用するようにしました。ビブスを着用していない人が畑にいたら、通報してもらうように周辺の方に協力していただいています。

 農産物被害に遭わないために、カメラ設置などの直接の対策だけでなく、地域の環境づくりも重要です。



NPO法人よいおやさい代表理事 篠崎和彦 埼玉県朝霞市

 【略歴】東日本大震災でのボランティアを契機に、2013年、渋川市で農業ボランティアを開始。現在は同市北橘町でブルーベリー畑を管理する。東京都大田区出身。

2021/02/18掲載