この冬の宿泊業は新型コロナウイルスの影響が大きく、当然ながら忘年会・新年会はなく、期待していた年末年始も大変厳しい状況になりました。仕方ないことですが、はしごを外された感はあると思います。食材、土産品、タオルなどの仕入れ先、クリーニング店、清掃会社など宿泊業に携わる会社も大変苦しい状況になっています。
群馬の温泉地の冬はシーズンオフ地域が多くなります。みなかみ町の猿ケ京ホテルは細かく情報収集をし、シーズンや状況に応じ早い段階から販売戦略を立てています。冬のオフ期もしっかりと対策を立てていましたが、コロナ感染拡大の影響を受けてしまいました。プロですのでいつもと変わらない笑顔で接客をしていますが、心の中は悔しさや不安であったと思います。
ただ猿ケ京ホテルのように常に情報を収集していれば「知らぬが損」になることはありません。この厳しい状況を乗り切るためにも視野を大きくして情報を収集し、生かしていくことが大事なことだと思います。
市町村の観光課や観光協会が中心となって旅館、ホテルの努力と苦労を実らせてもらえれば心強いと思います。いきなり大手メディアが取り上げる情報提供は難しくても、上毛新聞をはじめとする地域の新聞やテレビ、ラジオなどのメディアに観光の情報や取り組みを細かく提供していくことも必要です。
これまでもやっていたことでしょうが、もっと細かく情報収集し、発信していくことが情報化社会では必要になっていきます。実際に「修学旅行をみなかみ町の小学校が町内の旅館に変更」という上毛新聞の記事から大手新聞社やテレビ、ラジオのキー局に取り上げられました。
路線バスやタクシーで観光地へ向かうバラエティー番組が県内でも多く撮影されています。テレビ番組の企画などに対し、観光協会から積極的にアプローチを掛けていくことでも効果が上がると思います。「〇〇町観光協会はテレビ番組の企画、メディアへの情報提供に積極的に協力しています」との姿勢を見せることで露出も増えていきます。
お金をかける広告も大事なことです。しかし同時に、小さなことの積み重ねも手間はかかりますが大事なのではないでしょうか。
一緒に仕事をしてもらっている尊敬するパートナーが名付けた「For smile.」(笑顔のために)を屋号としました。できるだけ多くの宿泊施設の皆さんに寄り添い喜んでもらえる仕事をして笑顔になってもらう、そして全てのお客さまに満足の笑顔でお帰りいただき、観光業発展に貢献するとの目標と願いを込めたものです。
早く新型コロナが終息し、安心して旅行に出かけられ、観光地が笑顔でいっぱいになる日を心から願っています。
For smile.代表 木榑信之 沼田市下沼田町
【略歴】1989年水上館入社。IT販売本部長を経て、松乃井リゾートで企画室長を務める。2019年6月、独立して「For smile.」を立ち上げる。
2021/01/17掲載