関東信越国税局が1日発表した群馬県内の税務署別最高路線価は、コロナ禍による経済停滞や再開発の一服感から、9地点全てが横ばいか下落となった。近年は上昇基調にあった高崎、太田両市や草津町では今後の景気回復やさらなる再開発を期待する声があったのに対し、3年連続の下落となった富岡市ではにぎわい創出に向けた発展を求める声が上がった。

 2年連続で横ばいとなったJR高崎駅西口近く。ホテルメトロポリタン高崎で広報を担当する斎藤卓さん(44)は「コロナの影響はだいぶ和らいだが、人流はまだ回復しきっていない」と話す。同ホテルの宿泊利用はコロナ前の水準まで回復したが、企業や団体による宴会利用は今も低調なままだ。

 一方で周辺は、マンションの建設や飲食店などの新規出店も目立つ。斎藤さんは「感染状況が落ち着く中で、企業活動も盛んになっていくのではないか」と前を向いた。

 7年連続の上昇から横ばいに転じた太田市の太田駅南口周辺は、4月にテナントビルに金融機関がオープンしたばかり。今後も再開発が計画されている。近くで飲食店を経営する男性(54)は「実現すれば人の流れが増え、ビジネス利用の客でにぎわうはず。なるべく早く進めてほしい」と期待を込めた。

 インバウンド(訪日外国人客)や団体旅行が戻らない観光地や、人口減少が著しい地域では苦戦が続く。

 3年連続の下落となった富岡市の宮本町通りは、商店主の高齢化や郊外の大型商業施設への顧客流出といった課題を抱える。近くに世界文化遺産の「富岡製糸場」が立地することによる効果も薄らぎ、雑貨店の店員は「コロナ禍で観光客が減り、世界遺産登録前の日常に戻ったように感じる」とつぶやく。

 通り沿いの物件を管理する真栄商事(同市)の高橋総一郎社長(68)は、5月に整備が完了した「旧富岡倉庫」と製糸場を結ぶルート上に宮本町通りがあることに着目。「回遊性向上を念頭に開発を進められれば、にぎわい創出につながるだろう」と指摘した。

 都道府県による「県民割」の対象が全国に拡大される見通しとなるなど、観光地には明るい材料もある。2年連続の上昇から横ばいに転じた草津温泉の湯畑前にある土産店「草津温泉 湯の香本舗」(草津町)は「まだコロナ前とは比較にならないほど少ないが、客足が戻りつつある感覚」として今後に期待した。

 標準宅地評価基準額の対前年変動率の群馬県平均は、マイナス1.0%と全国で3番目の下落率だった。群馬経済研究所の伊勢和広主席研究員は「高崎や太田もある程度、整備が終わっているため県全体のマイナス幅を縮小する要素がなかった。結果的にわずかな差で(都道府県別で)下位になり、再開発をしている全国の他地域と比べてコロナ前の数値に戻るのが遅い」と指摘した。