経済的に苦労した経験を語る女性

 児童養護施設や里親家庭で育つ若者の自立支援に関し、原則18歳(最長22歳)までとなっている年齢上限を撤廃する改正児童福祉法が先の国会で成立した。18歳で施設などを離れて自立を迫られる「ケアリーバー」は、親を頼れずに困窮、孤立に陥りやすいとされる。児童養護施設を出た群馬県高崎市の女性会社員(27)が上毛新聞の取材に応じ、大学進学と夢を諦めて経済的に苦しんだ経験を明かし、法改正による境遇改善を期待した。

 女性は家庭の事情で高校2年時に県内の施設に入所した。以前から一時保護を受けており、将来は世話になった社会福祉士になるのが夢だった。大学進学を目指して勉強に励み、無利子の奨学金が借りられる見通しも立っていた。

 しかし関係者を通じて親に求めた援助を断られ、奨学金支給までに必要な入学金などのめどが立たず、進学を断念せざるを得なかった。当時の心境を「『やっぱりね…』みたいな、諦めに近かった」と振り返る。

 就職に切り替えたが、その選択さえ限定された。施設退所後の家賃負担を考えると、社宅付きを条件にせざるを得なかったからだ。結果的に福祉と懸け離れた総合建設会社に就職。「大学に行けていたら全然違う仕事をしていたと思う」。

 就職後も経済的に苦しく、家電をそろえるのも重荷だった。住民票の異動など、家族に教わるような社会制度の理解も手探りだった。現在は結婚もして持ち家もあり、「平和に暮らしています」とほほ笑む。ただ、退所当時については「18歳になる年でいきなり外に出る。分からないことが多くてしんどかった」と回想する。

 法改正によって支援を年齢で一律に制限することをやめ、自治体が自立可能と判断した時期まで継続できるようになる。女性は「自立までの準備期間が延びるのはいいこと。ただ、いずれは巣立たなければならず、サポート体制をより整えてくれたら」と話す。改正法では施設を出た後の支援も強化し、情報提供や相談を受ける拠点の整備にも取り組むとされており、実効性が問われる。

 高崎健康福祉大の千葉千恵美教授(子ども家庭福祉学)も上限の撤廃を歓迎した上で、「施設側の事情で退所せざるを得ないケースも出てくる。退所後も継続的なサポートが重要。支援団体や関係機関が連携して本当に必要なケアを行うことが求められる」と話している。

 ケアリーバー 厚生労働省によると、保護者の適切な養育を受けられず、児童養護施設や里親といった社会的養護のもとで生活する若者らは全国に約4万2000人いる。ケアリーバーは、こうした保護(ケア)を離れた人(リーバー)を指す。同省が昨春公表した実態調査によると、およそ5人に1人が支出が収入を上回る「赤字」の生活だった。