高齢化に伴って増える心不全患者の診療を充実させようと、群馬県高崎市の高崎総合医療センターは、心不全予防外来を開設した。栄養や生活、運動、服薬の指導のほか、介護などの社会的環境の改善に向けた支援を含め、多職種のチームによる医療で心不全の発症と発症後の症状悪化を防ぐ。

 診療は先月から始まり、毎月第2、第4火曜に行う。心臓血管内科の医師に加え、看護師や社会福祉士、理学療法士、栄養士、薬剤師らが対応する。看護師と薬剤師の2人は、日本循環器学会が認定する「心不全療養指導士」の資格を取得した。地域のかかりつけ医と連携を強化し、紹介を基本に患者を受け付ける。

 同センターによると、心不全は病名ではなく心疾患などによる機能低下が起きた状態で、A~Dの4段階ある。糖尿病や高血圧など生活習慣病があればA、何らかの心疾患があればBとされる。既に心不全を発症したステージCの患者は入院を繰り返し、体力が低下して寝たきりになる人もいるという。

 同外来では、ステージA、Bの患者で自覚症状がない「隠れ心不全」を早期に発見し、心疾患を精査して心不全の発症を防ぐ。Cの患者は症状や治療を見直し、悪化を防ぐ。

 心疾患の診断は心電図や胸部エックス線のみでは不十分なため、同外来では心エコー(超音波)検査、負荷をかけた際の心肺運動の試験、冠動脈CT(コンピューター断層撮影)など精密検査を行う。CT画像を専門機関に送って解析する最新の手法「FFR―CT」も活用する。カテーテルを挿入しないため、患者の負担が少ないという。

 同センターに心不全で入院する患者は年間約300人で、5年前に比べ3割増えた。国内の患者数は約120万人で、がん患者の100万人を上回るとの研究もある。診察を担当する高橋伸弥医師(34)は「高齢化に伴って増加し、『心不全パンデミック』と呼ばれている。医療がもう一歩踏み込んで早期介入したい。診察を希望する人はかかりつけ医に相談してほしい」と話している。