人手不足が深刻な業種への外国人材活用を目指し、政府が2019年に創設した特定技能制度=ズーム=が3月末で3年を迎えた。資格者は1年間で2.3倍になった群馬県を含め全国で右肩上がりで増加中。ただ、政府が5年間で見込む人数に対しては大幅に下回るペースで推移しており、県内の就労支援機関からは待遇や労働環境など制度の課題を指摘する声も上がっている。

 出入国在留管理庁(入管庁)によると、3月末時点の特定技能の県内資格者は1998人で前年同期比2.3倍、全国では6万4730人で同2.9倍だった。制度開始以来右肩上がりで増えているが、政府が掲げる5年間の受け入れ見込み数「34万5150人」に対する割合は、2割を下回っている。

 伸び悩む要因として、待遇面の課題を挙げる声が根強い。外国人就労支援を手がけるディーエス・イン・ジャパン(伊勢崎市)によると、同社が製造業への就労を支援した特定技能資格のベトナム人女性が妊娠したため、勤務先企業が母体の負担軽減のため製造現場から事務への配置転換を検討したが、東京出入国在留管理局から「事務仕事は資格外活動になる恐れがある」と指摘されたという。結局、女性は現在も製造現場で働き、比較的負担の軽い作業に従事している。

 同社担当者は「日本人なら認められる妊婦の配置転換が、制度として制限されてしまっている」と問題提起する。近年の経済成長でベトナムと日本の賃金差は縮まり、日本で働くメリットは相対的に小さくなっている。さらに最低賃金などで日本を上回る豪州などに優秀な人材が流れているといい、「日本は外国人から選ばれない国になりつつある」と危機感を募らせる。

 一方、入管庁によると、受け入れ状況は産業分野によって偏りがある。「産業機械製造業」は資格者が受け入れ上限を上回り、今年4月に資格認定交付を一時的に停止する事態になった一方、コロナ禍で打撃を受けた「外食業」「宿泊」は当初の見込み数を大幅に割り込む。

 その上で「34万5千人は受け入れの目標値ではなく上限値。特定技能外国人は着実に増え、今後も試験回数や実施国を増やすなど受け入れ拡大に向けた取り組みを進める」としている。

【ズーム】特定技能制度

 特定産業分野で一定の専門性や技能を持つ外国人を即戦力として受け入れる制度。省庁が指定する試験を経て取得するほか「技能実習」から移行するルートもある。技能実習と異なり「人手不足の解消」が目的。技能実習では原則不可能な転職ができるほか、2号資格者になれば母国にいる家族の呼び寄せも認められる。県内では技能実習からの資格変更者が84%を占める。