映画「影踏み」は、深夜に民家に忍び込み、盗みを働くのが専門の泥棒「ノビ師」が主人公のミステリー。ある夜、真壁修一(山崎まさよし)は侵入した民家で、就寝中の夫に火を放とうとする妻の姿を偶然目撃する。その後逮捕されるが、出所してから気がかりだった疑問を追いかけ始め、新たな事件に巻き込まれていく。

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 「64(ロクヨン)」「クライマーズ・ハイ」などで知られる元上毛新聞記者の作家、横山秀夫さんの同名小説が原作。本県で撮影された映画「月とキャベツ」(1996年)でメガホンを取った篠原哲雄監督と、山崎が再びタッグを組んだ。

 全編が本県で撮影され、ロケ地を巡るバスツアーも行われた。ドライブイン七輿(藤岡市)では、修一がもたれかかっていた自販機や、修一の脳内に存在する弟の啓二(北村匠海)と共に座っていたソファで同じポーズを取るファンもいたという。

❶毛野国白石丘陵公園 (藤岡市上落合、白石、三ツ木)

  修一と恋人の安西久子(尾野真千子)の思い出の丘。自分自身を許せたことで、影のように付き添う啓二から解放され、修一はようやく久子と共に歩む決心をする。この地でクランクアップを迎えた。丘に1本の木がそびえ立ち、雲がゆったりと流れる姿は、時間を忘れさせてくれる。

❷ドライブイン七輿 (藤岡市上落合)

 

 レトロ自販機の聖地。併設されたゲームセンターも相まって昭和感にあふれ、日々ファンが訪れる。事件の鍵を握る「バッタ屋」(中尾明慶)と密談するシーンで使われた。

❸文具のシマ (伊勢崎市東本町)

  久子に思いを寄せる久能次朗(滝藤賢一)が営む文具店の舞台。クライマックスでは、久能の兄(滝藤が2役)の遺体を修一が見つけ、久能ともみ合う迫力の様子に固唾(かたず)をのんだ。

❹沼田健康ランド(沼田市薄根町)

  事件への関与が疑われる修一に、2人組の刑事が事情を聴きに来る。1階のリラックスルームでは、修一と年配の刑事(鶴見辰吾)のやりとりが撮影された。

❺県立図書館 (前橋市日吉町)

  修一は出所後、自身が逮捕された事件に関する新聞記事を調べ始める。検索するシーンは2階を使用した。

 古びた施設は憂いのある雰囲気を演出し、絵画のような風景は未来を想起させる。オール群馬ロケという親近感と相まって、物語を体に染み渡らせてくれた。