今年の夏はお祭りや花火大会などの楽しみなイベントが軒並み中止になってしまい少し残念ですが、「Go To トラベル」や自治体独自の補助金を利用して、地元観光を検討されている人もいるのではないでしょうか。対策に細心の注意を払いながら、楽しい夏を過ごせることを願うばかりです。

 今回は観光の「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」まで、いかにして回復するかということについて考察します。まず、日本の観光の現状についてです。新型コロナウイルス感染拡大以前はインバウンドが好調でしたが、当面はこの誘客が難しくなります。

 しかし、旅行消費額を見ると、国内全体の観光消費額が27.9兆円に対し、インバウンドによる消費額は4.8兆円で、その比率は全体の約17%程度になります。残りの約80%は日本人旅行者による消費です。つまり、この8割を回復させることが重要です。

 そこで着目すべきは、地元観光と宿泊です。地元観光は県をまたいだ移動の自粛が叫ばれる中で、いま最も注目が集まる分野です。自分たちの住む地域の魅力を再確認するきっかけにもなるため、アフターコロナでインバウンド需要が戻ったときに、地域が一丸となってより強い発信力を持てるようになることが期待できます。

 次に宿泊です。宿泊は観光消費額の中でも大きな割合を占めます。近年はゲストハウスやカプセルホテルのような簡易宿泊所も人気を集めていますが、宿泊にさらなる付加価値をつけることで相応の対価を獲得していくなど、消費額の増加を狙うことも必要です。

 サービスの向上には接遇改善や設備投資などがあります。特に考えたい点は労働生産性を高めるということです。例えば、中国のアリババグループが運営する「Fly Zoo Hotel」は、顔認証サービスなどを導入しており、オペレーションを簡略化することで労働生産性を高めています。

 テクノロジーを駆使した近未来的で楽しいコンテンツや、おしゃれな空間でも、お客さまを楽しませます。非接触型のサービスであることも、今後は魅力の一つとなるでしょう。

 アフターコロナで狙うインバウンド需要は、新型コロナ以前のような誘客ではなく、消費額が多い層にターゲットを絞っていくことが重要です。

 今、観光産業に必要なことは、原状回復ではなく、業務の効率化や労働生産性を向上させる構造改革です。アフターコロナでインバウンド需要が戻ったときにより強い観光立国として飛躍できるよう、今は大切な準備期間ではないでしょうか。



グローバル観光戦略研究所研究員 大井田琴 高崎市石原町

 【略歴】民間企業、下仁田町観光協会を経て現職。同協会で日本版DMOの立ち上げに携わり、インバウンドの市場調査や国内外向け広報も担った。二松学舎大卒。

2020/08/27掲載