DXによる本県の潜在力について意見を交わす福田さん(右)と前田さん

 ぐんまプログラミングアワード(GPA)2022の関連行事として、ICT講演会が6日、前橋市の上毛新聞社で開かれた。前橋工科大理事長の福田尚久さんと、同市に進出予定のデロイトトーマツグループ執行役CSOの前田善宏さんが「デジタル化、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の先にあるもの」と題して対談。政府のデジタル田園都市国家構想に採択された県や同市の事業が、全国や海外からも注目される先進事例になり得るとの認識で一致した。

 福田さんは冒頭、DXのうち「大切なのはトランスフォーメーション(変革)だ。デジタルは道具に過ぎない」と強調し、「デジタル化」だけが過度に着目される風潮にくぎを刺した。前田さんも「変革は自由な発想の中で、雑談など人と人とのつながりから生まれる」と応じた。

 デジタル田園都市国家構想に対し、福田さんは10月までに事業化する「実装」を前提としている点を高く評価。これまでの政府事業は社会実験を繰り返すだけだったとして「社会実験では(産業構造や仕組みを)何も壊せない。実装して社会で運用させることが重要だ」と述べた。

 その上で、同市のデジタル個人認証「まえばしID(仮称)」を踏まえた事業基盤を確立し、さまざまなサービスが市内外の人に使われるようになれば、「この仕組みを前提としたサービスが各地で生み出されるようになる」とした。

 さらにグーグルやアマゾンなど「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業を引き合いに出し、「群馬はGAFAに対抗できる」と持論を展開。デジタルで業界を融合し、広く浅く網羅しようとするGAFAに対し、まえばしIDで「ローカルに深く」を追求する構想を熱っぽく説くと、会場のどよめきは感嘆に変わった。

 前田さんは「まえばしIDでローカルを貫くと結果的に、世界を含めた広がりを生む可能性があり、群馬はその拠点となり得る」と展望。本県で開かれるGPAや起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)」について、「全国規模の事業に発展させれば、群馬はイノベーションの聖地になれる」とした。

 GPAの協賛社対象の講演会で、関係者約20人が耳を傾けた。主催した上毛新聞社の内山充社長・主筆はあいさつで「われわれもDXにより変革を目指す。8月のGPAを共に盛り上げたい」と述べた。