わが国は急速な勢いで超高齢社会に突入し、2025年には認知症をもつ人が約700万人になると推測されています。認知症はアルツハイマー型認知症が一番多く、他にレビー小体型認知症や血管性認知症、前頭側頭型認知症というように原因疾患が必ずあり、疾患そのものではなく総称です。

 一般的によく聞く「年齢相応のもの忘れ」と「病的なもの忘れ」には違いがあります。例えば結婚式の場合で考えてみましょう。年齢相応のもの忘れは、1週間前の孫の結婚式で隣に座っていた人の名前が思い出せない、どんな料理が出たか部分的にはっきりしないなど、部分的なもの忘れとなります。病的なもの忘れでは、結婚式があったこと自体が思い出せず、しかもその出来事はなかったと否定するように、経験したこと自体を忘れてしまいます。

 認知症になる前の段階を軽度認知障害と言います。記憶などの認知機能が低下し始めていて健常と言えないものの、手助けなしに独居生活を営めるだけの生活管理能力が保たれている状態が軽度認知障害です。そして、必ずしも認知症になるわけではありません。なぜなら、予防ができる認知症もあるからです。

 認知症を予防し、進行を防ぐ効果的なもの、一つ目は運動です。脳の血流を高め活性化することができます。ある認知症専門医のおすすめは、朝の連続ドラマを見ている間に、その場で足踏みをすることです。習慣づけていくことが大切です。

 二つ目に大切なことは健康的な食事を取ることです。一つのものを食べ続けるのではなく、バランスよく肉と魚と野菜を食べ、カロリーはやや控えめ、お酒は適量、たばこは吸わないことが大切です。

 三つ目は、心のストレスを減らすことです。今は新型コロナウイルス感染の関係で気分もふさぎがちですが、くよくよしないで前向きな気持ちで、楽しく暮らしましょう。

 Aさんは語り部をされており、「公民館で大勢の前でよくやったものです」と恥ずかしそうに、私に話してくれました。認知症の症状も進行し、同じ内容を繰り返し話したり、言葉が出なくなったりしましたが、「最近もの忘れがひどくて!」と笑いに変えながら語り部を続けているそうです。

 Bさんは、デイサービスに行くことが嫌で、始めは休みがちでしたが、今ではとても楽しいそうです。「自分が一番動けるから、歩けない人の食事を配ったり片づけをすると、喜んでもらえるんだよ」と話されていました。

 人は「役割」を持つとこんなにイキイキとするものなんだ、と思いました。お二人の笑顔から、周囲の人と楽しく交流を持ち、認知症の人が孤立しないことが大切であると学びました。



内田病院看護師 小池京子 沼田市柳町

 【略歴】1996年から内田病院に勤務。子育てと病院勤務をしながら学校に通い、准看護師、看護師の資格を取得。2017年に認知症看護認定看護師となった。

2020/07/14掲載