「食品ロスの削減の推進に関する法律」(食品ロス削減推進法)が2019年5月に公布され、10月1日に施行されました。

 この法律は、食品ロスの削減に関し、国、地方公共団体等の責務等を明らかにするとともに、基本方針の策定その他食品ロスの削減に関する施策の基本となる事項を定めること等により、食品ロスの削減を総合的に推進することを目的とする、としています。

 世界では飢餓が原因で1日に約2万5000人の人が亡くなっているという現状があります。世界の人口は増え続け、今から30年後の50年にはほぼ100億人に達すると見込まれることから、食料不足はより深刻になるでしょう。

 一方で、食品ロスの削減は世界的に大きな課題であり、年間約13億トンが廃棄(食料生産量の3分の1)されています。日本の食料自給率はカロリーベースで37%と低いのですが、年間の食品ロスは約612万トン(17年度)となっています。これは、国民1人当たり1日茶わん約1杯のご飯の量に相当します。

 もちろん、このようなアンバランスは解消されるべきです。

 食品ロス削減の効果としては(1)生産、加工、流通の各段階における廃棄コストの削減(2)食料需給バランス是正による飢餓・人口問題への寄与(3)エネルギー、水、その他資源の有効利用(4)生物多様性の維持(5)温室効果ガスの排出削減―などが挙げられています。

 食品ロス削減に向け、世界でもさまざまな取り組みが行われています。

 食品ロス削減推進法はその前文で、「国民各層がそれぞれの立場において主体的にこの課題に取り組み、社会全体として対応していくよう、食べ物を無駄にしない意識の醸成とその定着を図っていくこと」としています。

 このように食品ロスの削減はさまざまな場面での対応が必要です。一番大切なことは、社会全体で、私たち消費者を含めた全員がそれぞれの立場で、食品ロス削減を行っていくことにあります。つまり、食品の製造・加工、流通、家庭での消費に至るフードチェーンにおいて、各自が関係する場面において、対応していく必要があるということです。

 私たち消費者にとって身近なところでは、家庭での食べ残しを極力なくすことを日頃心掛けると良いでしょう。よく言われることですが、消費期限や賞味期限の切れそうな食品がないかをよく確認し、また、買い物に行く前に冷蔵庫の中を見て、本当に必要なものを確認することが大事です。店舗で購入の際は買いだめをしないこと、手前の商品(期限が迫ったもの)から先に購入することなどは、小さいけれど食品ロス削減に大きく寄与します。



東洋大食環境科学部教授 佐藤順 埼玉県新座市

 【略歴】食品会社で微生物検査や管理、品質保証などの業務に長らく携わる。2013年から現職。県食品安全県民会議委員。宮城県出身。東北大農学部卒。

2020/07/04掲載