安倍晋三元首相が奈良市内で銃撃されて死亡した8日、群馬県内経済界にも衝撃が走った。経済団体トップからは事件を非難する声が相次ぐとともに、在任中に打ち出した経済政策「アベノミクス」を評価する声が上がった。経済情勢が不透明感を増す中、経営者からは岸田文雄政権の経済政策への影響を心配する声もあった。

 県商工会議所連合会の曽我孝之会長は「政治家が国民に向かって直接話してくれる貴重な機会に暴挙は許されない。政情不安で経済が停滞しては困る」と憤った。

 「一報を聞いた時は信じられなかった」と語るのは、県中小企業団体中央会の吉田勝彦会長。「アベノミクスのおかげで息を吹き返した県内中小企業は多い」と指摘し、「民主主義が少しずつ壊れている。力で解決する風潮は、経済にとっても悪影響だ」と強く非難した。

 県商工会連合会の石川修司会長は「総理大臣として初めて小規模事業者にも目を向けてくれた人」と安倍氏をたたえ、JA群馬中央会の唐沢透会長は「衝撃的な突然の出来事に驚いている。決して許されない卑劣な行為だ」と断じた。

 日本商工会議所の三村明夫会頭(前橋市出身)は「深い憤りと悲しみを禁じ得ない」との談話を発表。安倍氏の経済政策を「20年にわたるデフレで苦しんだ日本の閉塞(へいそく)感の打破に挑み、経済再生の道に大きな突破口を開いた」と評価した。

 県内の経営者からは、今後の日本経済の行方を憂慮する声も上がった。

 高崎市の金属加工企業では、ウクライナ危機の影響などから電気代が膨れ上がった。男性社長は「安倍さんは原発再稼働に向け積極的に発言し、期待していた。(事件のせいで)議論が止まってしまわないか」と懸念。別の女性経営者は「ただでさえ経済のかじ取りが難しい局面。現政権にはぶれずに仕事をしてほしい」とアベノミクスの継続を要望した。