2019年の前回参院選で群馬県内の警備警察の指揮を執るなどした元県警警備部長の星野貴司さん(61)が8日、上毛新聞の取材に応じ、「要人警護は無事に遂行することが当然とされる『ゼロか100か』の世界。特に選挙期間中は神経を使う」と内情を話した。

 星野さんによると、一般に街頭演説の警護は立候補者や応援に駆けつける政党幹部らの安全確保に加え、聴衆を交通事故などから守ることが求められる。政治家にとってはアピールの場であり、車両や壇上を降りて群集に入って交流することも想定される。事前に政党や立候補者と綿密に打ち合わせを行うという。

 今回の事件については動機や詳細な警護体制など「まだ分かっていない点が多い」とした上で、現場が不特定多数の往来がある駅前の路上で、周辺にビルもあることを指摘。善良な市民が多く集まる状況下で、あまり強硬に警護すると政治家の印象に影響を与えることが懸念されるため、公正な選挙の担保にも気を配らなければならない独特の難しさがあると説明した。

 「さまざまなシチュエーションに対する心構えが必要で、『まさか』は絶対に許されないのが警備警察」と痛切な面持ち。選挙期間中であり、模倣犯を含む同種事案の続発を心配した。