富岡製糸場を視察に訪れ、県民に手を振る安倍晋三元首相=2014年7月23日(代表撮影)

 安倍晋三元首相(67)が参院選の応援演説中に銃撃され死亡した8日、群馬県民にも衝撃が広がった。国の行く末を左右する数々の政策を打ち出し最長政権を担った実力者を狙った白昼の凶行に、武器を取った容疑者を強く非難する声が相次いだ。安倍氏のリーダーシップや政治手腕を評価し、惜しむ声も目立った。

 「無念。銃撃は許されず、選挙期間中にあってはならない」。2014年に富岡製糸場を視察した安倍氏を知事として迎えた大沢正明さん(76)=太田市=は安全保障関連の「非常に強いリーダーシップ」が記憶に残る。

 共に迎えた元富岡市長の岩井賢太郎さん(80)=同市=は「こんなことがあっていいのか」と憤る。人懐こく気軽に市民に応じる姿が印象的だった。「地方に理解があり、だからこそ長期政権になった。まだ67歳。かわいそうすぎる」と悼んだ。

 陳情のため官邸で面会した県建設業協会の青柳剛会長(72)=沼田市=は、縁の深い故尾身幸次元財務相の存在を踏まえ、安倍氏が常に本県を気にしていたと明かす。「政治的信条がとてもしっかりしていた。言葉にならない」と語った。

 JA太田市元組合長の茂木武治さん(65)は19年、官邸で安倍氏に特産の小玉スイカを贈った。「気さくに『ジューシー』と感想をもらい、日本一の産地を守る後継者を育ててと言われた。惜しい人を失った」と残念がった。

 前橋市の男性(84)は「手法には強引さもあったが、国論を二分する経済対策や安保法制を進めて国に尽くした。意見が違っても暴力は駄目。ご冥福を祈る」と話した。

 事件の経過を巡り、桐生市の男性(73)は「ワンマンともいえる政権運営で敵が多かったと思うが、容疑者はなぜテロ的行為に走ったのか」と首をかしげた。

 安倍氏の功績について建設業の男性(61)=館林市=は「長く政界トップで外交力を発揮したが、桜を見る会などの疑惑も忘れられない」と振り返った。高崎市の会社員の男性(45)は「経済政策などでアクションを起こしたことは評価したいが、格差解消は課題として残った」と指摘した。

 JR高崎駅にいた埼玉県深谷市の高校3年の男子(17)は「総理といえば安倍さん。政治家で一番好きだった」と悲しんだ。

 県警は、今後の県内での要人警護について「警察庁と連携しながら対象者の絶対の安全確保のため万全を期する」とした。