新型コロナウイルスによる感染症拡大防止の観点から、全国の学校で休校の措置が取られた。子どもたちが学校に行けない日々が続いたことで、改めて学校とは何をするところか、どのような社会的意義があるのかなど、子どもの居場所としての機能を有する学校の価値が見つめ直される機会になった。

 休校が続くさなか、部活動はどうなっているのか気になっていた。

 筆者のコメントが掲載された、ある新聞の記事によると、音楽系の部活動の生徒がプロの演奏動画を見ながら自宅で練習していた。運動部の生徒たちは過去の試合の動画を自宅で見ながら、どのようにすれば良かったか、SNSを活用して部員同士で相談したりしていた。それぞれ工夫をしながら取り組んでいるという。

 この話を聞いて、部活動の本来の姿である「同好の生徒が集まり、自分たちで考え、自分たちで企画し、自分たちで実践する部活動」だと実感した。

 自分たちで工夫して練習した経験は、再開後の活動においても生かされることだろう。これまであまり見ることのなかった動画の内容は、引き続き活動の中で生かされるに違いない。1963年から開催されてきたインターハイが中止になるなど、大変な状況になってはしまったが、改めて部活動とはどうあるべきかを考える機会にしたいと思うのである。

 今回の休校による活動停止を契機に、再開後の部活動は学校教育としての意義を生かしたものにリニューアルしたい。それは大会やコンクールで成果を出すこと(勝つこと)が第一義的な価値ではなく、活動を通して多様な知識・技能を身に付け、思考力・判断力・表現力を向上させ、人間として成長・発達することを第一の目的とするのである。

 そのためには、これまで多くの学校で見られたような、大人の指示・命令で動く活動ではなく、生徒主体の活動にする。自分たちで計画を立て、活動内容・方法を考え、実践し、評価もする。レギュラーメンバーも自分たちで考える。大人は支援役に徹するのである。休校中に自宅でいろいろな工夫をした生徒たちならできるだろう。

 小学校のクラブ活動についての学習指導要領解説を見ると、その活動過程は、自分たちでクラブを創るところから始まる。年間計画も自分たちで立てる。主体性を育むことが大切にされているのである。都内のある小学校では、クラブ活動の顧問は当該クラブの技術的な指導ができない教員を充てているという。教員の役割は技術的な指導ではなく、子どもたちが主体的に活動できるように指導助言することだからである。

 中学・高校の部活動も生徒の主体性を尊重した活動にリニューアルしてもらいたい。



学習院大文学部教授、日本部活動学会副会長 長沼豊 東京都大田区

【略歴】学習院中等科教諭、学習院大准教授などを経て同大教授。2017年に日本部活動学会を設立し、会長就任。現在は副会長。東京都出身。大阪大大学院博士課程修了。

2020/5/29掲載