ここ数年でデジタル技術は大きく進化を遂げ、あらゆるものがオンラインに置き換えられている。

 2020年4月にオンライン診療が始まり、昨年12月には指定自動車教習所におけるオンラインでの学科教習が始まった。また、昨年9月にデジタル庁が発足したことから、行政サービスもオンライン化が進んでいくことが見込まれる。

 私が代表を務めるNPO法人は、高齢者にスマートフォンの機能を正しく理解し活用する力「スマホリテラシー」を高めてもらおうと、使い方を教える講座を開催している。5年間で500以上の講座を開き、参加者は延べ3千人を超えた。募集を始めてわずか数分で定員に達してしまうこともあり、中には「ようやく参加することができました」とうれしそうに話す人もいる。

 講座は一方的な説明にならないよう、一人一人に実際にスマホやタブレットを操作してもらいながら進め、遊び心も交えるようにしている。

 例えばインターネットの機能の説明では、自分が旅行に行くことをイメージしてもらい、好きな観光地の情報や目的地までの経路、宿の情報などを調べてもらう。ビデオ通話の説明は、画像や動画を加工するエフェクト機能やバーチャル背景を使いながら、思わず笑ってしまう姿に変身してもらう。

 高齢者の多くは、未知の物体であるスマホに対して大きな恐怖感を抱いている。自分の操作によって個人情報が流出してしまうのではないか、追加料金が発生してしまうのではないかと尋ねてくる方も少なくない。

 そうした背景もあるためか、スマホを持ってはいるものの、ほとんど使ったことがないという方も多い。講座中に利用頻度についてアンケートを取っても、週1、2回程度という答えが最も多く、中には1カ月に1回程度という人もいる。

 一方で、スマホ講座を受講したことをきっかけに、地域の住民の間で無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使ったグループができ、定期的にコミュニケーションを取るようになったというケースもある。時には文字でのやりとりにとどまらず、ビデオ通話の機能を利用して、画面越しに顔を合わせて会話をすることもあるらしい。

 このような活動を通して強く感じるのは、高齢者もスマホによる利益を十分に得たいと考えているということだ。しかし、それをかなえられるほどスマホに触れたり学んだりする機会をつくることは難しく、諦めてしまっている高齢者がとても多い。

 超高齢化社会を迎えた今日、地域における相互扶助の仕組みを構築していく必要があるだろう。その中で、高齢者のスマホリテラシーを向上させていくことは大きな意味があると考える。

 【略歴】高崎高3年だった2016年11月に同NPO法人を設立し、若者の地域定着に取り組む。21年5月から22年3月まで「前橋市高校生学習室」室長。慶応大4年。

2022/7/13掲載