▼人気アニメ「機動戦士ガンダム」の最新作「ククルス・ドアンの島」は、43年前のテレビシリーズ中の一話分を映画化した。脱走兵ドアンが孤島に戦災孤児をかくまい、主人公と対峙(たいじ)する異色のエピソードだ

 ▼秀逸な内容ながら、ファンの間ではロボットの作画がひどいことで知られる。映画では脱走兵自らが乏しい材料で修理したとの解釈を加え、ミスを堂々と「正解」に描いてみせた

 ▼さて行政や企業が手続きの間違いやデータの不備を隠し、後付けで正当化したとすれば、これは改ざんに当たる。森友学園への国有地売却を巡る公文書の書き換え、自動車メーカーの燃費データ偽装などは記憶に新しい

 ▼卑近な例では先日、東毛地区のある自治体の職員が決裁を受けていた文書の期限内公布を忘れたため、生じた不具合の修正を無断で追加して公布。処分を受けた

 ▼単純なミスが原因だが、上司が改ざんに気付いて発覚したという。後から取り繕うような手法がよもや常態化しているとは思わないが、住民に対する背信行為であることは言うまでもない

 ▼冒頭に挙げた映画の監督、安彦良和さんは本紙の連載「連赤に問う」で「本編と関係がない『捨てる話』だが、良い話だと思っていた」とリメークの理由を語っている。過去のミスと正面から向き合った新作はファンへのサービスと映ったが、公文書の改ざんはなかったことにできない。