市を代表する観光資源として人気がある碓氷峠の「廃線ウオーク」

 群馬県安中市の碓氷峠にある鉄道遺産群の持続的な保全と観光誘客を目指し、安中市観光機構(武井宏理事長)は15日、新たな観光事業を推進するための実行委員会を立ち上げた。観光関係者や有識者らで構成し、廃線となった旧JR信越線横川―軽井沢間で技術者から保線作業を学んだり、一部区間のレール上で電動カートを運行したりするプランを企画。観光資源を生かして人を呼び込み、収益の一部を国指定重要文化財の碓氷第三橋梁(きょうりょう)(通称・めがね橋)や旧丸山変電所といった文化財の保全に役立てる循環型の観光を構築する。

 新たな観光事業は鉄道ファンのほか、台湾を中心とする訪日外国人客をターゲットとする。実行委は、同機構や磯部観光温泉旅館協同組合、群馬大の関係者ら16人で構成する。

 保線作業を学び、体験するプランはJR東日本高崎支社の協力を得て商品化する。鉄道遺産群や自然環境維持の主体として活動するボランティア組織も立ち上げる。

 電気自動車(EV)の技術を転用し同大が開発した電動レールカート2台を廃線区間の一部で運行し、鉄道遺産群の観光資源としての魅力を高める計画だ。

 国内外からの観光誘客に力を入れるが、特に台湾向けには現地の旅行会社に情報を発信し、PR動画を作ったり、オンライン商談会を開いたりする。交流サイト(SNS)などで影響力のあるインフルエンサーや旅行業の関係者らを招いたモニターツアーを12月に予定。レールカートの乗車、廃線の保全活動などを実際に体験してもらい、プランの魅力についてや改善点などを探る。

 周遊観光の宿泊拠点となる磯部温泉では、オンライン決済の導入や体験型観光イベントの多言語化などを進め、訪日外国人客の受け入れ態勢を整える。

 これらの事業の実施を巡っては、観光庁の「サステナブルな観光コンテンツ強化事業」で約1900万円の支援を受ける。全国22地域の自治体・団体、企業の計画が採択され、本県では同機構の事業が唯一選ばれた。

 実行委は「最終的には安中と軽井沢、世界遺産の富岡製糸場を結ぶ広域型のサステナブル観光圏を実現したい」としている。