渋沢について語る三村氏

 日本商工会議所の三村明夫会頭(群馬県前橋市出身)が15日、同市の昌賢学園まえばしホール(市民文化会館)で、「渋沢栄一の意志をつなぐ」をテーマに特別講演した。埼玉県深谷市出身で本県ゆかりの実業家、渋沢の考え方を紹介しながら「私益と公益の両立という思想は現代でこそ価値がある」と強調した。前橋市市制施行130周年記念事業の一環。

 日本の国内総生産(GDP)は約20年間横ばいで停滞し、資本主義の負の側面が指摘されているとして、三村氏は「(資本主義は)経営者のモラルがあり、国家に所得再分配機能があって初めて適切に機能するシステムだ。企業は利益を追求するのは当たり前で、同時に公益を追求しなければならない」と指摘した。

 渋沢は明治期に約500の会社を設立した。このうち約6割が今も存続していることから、どの事業を行うべきかを選択する際の着眼点を高く評価。具体例として銀行や電気、ガスなど国民生活に必要なインフラ産業と、絹織物やビール、食品といった生活に密着した事業を紹介した。

 新型コロナウイルス感染拡大に関しては一度立ち止まる機会と捉え、「自らの企業の存在理由を問い、多くの社会課題に理念のみならず具体論として真っ正面から向き合って」と語った。

 三村氏は同市の名誉顧問を務め、市内の経営者や自治会役員ら約260人が出席した。続いて、前橋商工会議所が同商議所で開いた「三村会頭を囲む会」には経営者ら約60人が参加し、意見交換した。