店内にあるテントに座る貝之瀬さん夫妻
店の前で笑顔の貝之瀬さん夫妻

 鳴神山や柄杓(ひしゃく)山などの山々に囲まれ、湖や川が流れる桐生市梅田町に開業して、もうすぐ1年を迎える。アウトドア用品の販売店「田中商店」は、食品や雑貨の販売に加え、カフェも併設する。外観と店内のギャップもあって、県内外のアウトドアファンから注目されている。

 店は貝之瀬賢人店長(32)の妻、沙季さん(27)の祖父母がかつて営んでいた酒屋を改修し、店名をそのままに開業した。外観は昭和レトロな酒屋の雰囲気が漂うが、店内に一歩足を踏み入れると、最新のアウトドアグッズがずらりと並ぶ。

 FIREBOXのたき火台(1万6500円)やビンと缶の両方に使える2wayボトルク―ラー(2750円)など品ぞろえは豊富。店内にはアップテンポのBGMが流れ、来店客をわくわくした気分にさせる。

 「人口減少と高齢化が進む梅田をなんとか活性化させたい」。賢人さんは単にアウトドア用品店としなかった理由について、こう話す。市内山間部の梅田町の人口は3千余り。店から最寄りのスーパーまでは片道約7キロある。生活の不便さを解消しつつ、地域交流の場となることも目指している。

 青空市場の開催もその一環だ。隔週の週末、店の向かいにある駐車場で、沙季さんの両親が栽培する野菜や手作りの竹細工、地元農家が栽培した青果物などを販売。町内のにぎわい創出に一役買っている。

 夫妻は最近、店の知名度が定着してきている実感があると話す。地元住民や観光客がバーベキューなどの野外活動をする際、相談に訪れることも増えた。この1年でリピーターが増え収入も安定しつつあることから、賢人さんは「キャンプ場の経営にも挑戦したい」とさらなる意欲をにじませている。

 【データ】 田中商店は2021年8月オープン。ランプやキャンドルなどアウトドア用品のほか、野菜や雑貨も販売している。アウトドア用品の一部はオンラインでも販売する。午前10時(土日祝日は同9時)~午後7時。問い合わせは同店(☎0277-47-7808)へ。

●記者のトレンド予測● 防災にも役立つ商品
 都会の喧騒(けんそう)に嫌気が差し、自然豊かな田舎で生活したいと思った経験がある人は記者だけではないはず。経営面では試行錯誤を続けながらも、充実した毎日を送る様子の貝之瀬さん夫妻の話を聞き、ますますその思いを強くした。

 取材を通して改めて実感したのは、アウトドア用品は防災グッズにもなり得るということだ。備えあれば憂いなし―。田中商店が送り出す数々の商品は、危機管理の観点からも一層注目されるのでないだろうか。