▼土用と聞くと、真っ先に鰻(うなぎ)を思い浮かべてしまうのは食い意地が張っているせいか。暦の雑節の一つで立春、立夏、立秋、立冬の前18日間のことを指すから、年に4回ある
 ▼それぞれ季節の変わり目に当たり体調を崩しやすいため、昔から旬のものを口にして養生する習わしがあった。夏の土用は、鰻が定着する前から栄養価の高い「土用蜆(しじみ)」や「土用卵」が定番。あんこでくるんだ「土用餅」は無病息災を願って土用の最初の日に食べたという
 ▼きょうはその「土用の入り」。例年ならば梅雨明けの頃に重なる。異例の早さで梅雨が過ぎ去り夏真っ盛りのはずの県内は、このところぐずついた空模様が続いている
 ▼列島各地が「戻り梅雨」の様相で、九州では線状降水帯が相次いで発生し記録的な大雨に見舞われた。道路の冠水や土砂災害も起きている。つかの間、晴れ間が戻りそうな県内も、しばらくは大気の不安定な状態が続くというから警戒が必要だ
 ▼気を付けたいのは、災害が起きてからでは避難が難しいという点だ。気象予報や自治体の出す情報を積極的に仕入れよう。離れて暮らす家族がいれば、その地域の状況にも目を配って声をかけ合いたい
 ▼それにしても、梅雨明け前後の猛暑にへきえきしていたのに、やはり夏らしい日差しが恋しいとは都合が良すぎるか。食や暮らしに先人の夏土用の知恵を取り入れながら暑さに備えるとする。