▼ノンフィクション作家、柳田邦男さんがお薦めする絵本を取り上げた全国紙の記事を見た高崎市の飯野真幸教育長(73)は「視点が一致した」と感じた。柳田さんが最初に挙げたのはスペインの作家による絵本『しあわせなときの地図』(ほるぷ出版)

 ▼市立の全小中学校、高校、特別支援学校に今年贈る本として選んだのが同じ絵本だった。購入後に記事が目に留まった。教育関係の機関誌で対談して以来、20年ほど付き合いがあるという大家からお墨付きを与えられたような選書になった

 ▼〈ソエは うまれてからずっと この町でくらしてきました。けれども、戦争のせいで、家族と 外国に逃げなければならなくなりました〉と始まる。少女は町を出る前の晩、町の地図を広げ、楽しいことがあった場所に印を付けていく。すると…

 ▼ロシアによるウクライナ侵攻前の本だが、学校や住宅まで爆撃されて子どもを含め多くが亡くなり、故郷を追われた人も少なくない光景が重なる物語だ

 ▼寄贈は7月1日。飯野教育長はメッセージを添えた。〈戦争のない世界を作っていくために自分は何ができるか考えてもらえるとうれしいです〉

 ▼生徒による読み聞かせを計画する学校もあり、町のよいところを落とし込んだ地図を作りたいと考える生徒もいるという。校長の一人は「支援活動など子どもたちが自ら動き出すきっかけになれば」と期待した。