「食材ごとに違う個性を引き出したい」と味の追求に余念がない片山さん 

 春は山菜やシラウオ、夏はクルマエビ、稚アユ、秋はハゼ、キノコ、冬はアマダイ、カキ―。天ぷらとして食す野菜や魚介といった自然の幸が、四季を感じさせてくれる。

  店主の片山哲司さんは、東京の老舗「天松」で20年にわたって修業。渋谷の本店では店長も務めた。2013年3月に地元の藤岡市で開業した。

  「天ぷらは一期一会で、一発勝負」。アスパラガス1本でも長さや筋が違い、エビも大きさが異なる。すると衣の付け方、火の通り具合も微妙に変わってくるという。客の食事の進み具合にも気を配り、調理するベストな状態、タイミングを探る。「味見できないから、その瞬間で納得したものを見極めて出すんです」

  素材の味わいを生かすため、揚げには焙煎(ばいせん)の浅い、淡い色のごま油を使う。季節によって、複数の油をブレンドすることも。軽い食感とほんのりと付いたゴマの香りが食欲をそそる。塩のほか、手作りの天つゆや梅肉で食べるのがお勧めだ。

  コースでは刺し身や小鉢を挟み、“変化球”を交えて提供。締めは天丼か天茶漬けを選べるが、どちらもおいしいので悩ましい。天ぷらをリーズナブルに楽しめるランチも人気という。

  初物を食べる「走り」、最もおいしい状態の「旬」、余韻を楽しむ「名残」と三つの旬に触れられるのもこの店の魅力。「季節を表現できるのが天ぷら。江戸前をベースに、世の中の流れやお客さんの好みに合わせ、進化していければと思う」。探求心は絶えない。

 営   業 【昼】午前11時半~午後2時(ラストオーダー同1時)、【夜】午後5時半~10時(ラストオーダー同9時)。昼も夜も要予約。
 定 休 日 月曜(祝日の場合は火曜)
おすすめ おまかせコースの「月」。季節の天ぷらが味わえる。