ここ数年、「つなぐ仕事」の依頼が多くなってきたように感じている。地域とアート、商店や教育機関など、対象となる団体、事柄はさまざまだ。私の専門は彫刻で、地域プロジェクトや地域活性化などは専門外のため、日々勉強しながら取り組んでいる。

 何かと何かをつなぐ際、まずは、なぜつながる必要があるのかを整理することが重要だ。正確に言うと「どのようにつながりたいか」である。ここが明確にならなければつながりは一過性に終わり、継続的な取り組みは見込めない。しかし、大抵の場合は大まかなイメージで依頼される。

 「大工の質と技量が落ちているのは、依頼する側の問題だ」という話を聞いたことがある。やや乱暴な意見だと思うし、実際に大工の質が落ちているのかは分からない。ただ、依頼する側(仕事を発注する側)の問題、つまり「依頼力」に問題があるという着眼点は面白いと感じた。

 初めから依頼力がある発注者はそう多くなく、それ自体は悪いことではない。むしろ一緒に考えていける楽しみがあると思う。ここでは発想を変え、最初に依頼力を提示しなければいけないのは、仕事を受ける側かもしれないという仮説を立ててみる。

 「どのようにつながりたいのですか」という言葉を、質問ではなく依頼として発注者に投げかけたらどうだろう。

 質問にはその場である程度の返答をしなければいけない印象がある一方、依頼に対してはじっくり考えていい印象がある。また、質問は分からないから投げかけるが、依頼はある程度答えがある上で投げる印象がある。

 最初に依頼された側が発注者に課題を出すのだ。当然、意図やアドバイス、できる範囲などを丁寧に説明し、考えやすいように依頼する。発注者はその内容をしっかり考え、自分たちの答えを用意してまた依頼する。

 こうした依頼の積み重ねが後になって互いの関係性に影響してくる。相手に結果を持って行って良いか悪いかを確認するだけの関係は、発展性がなく希薄なものになってしまう。

 地域とアートをつなぐ仕事を私が依頼された時、地域と私はつながるが、アートと地域がつながっていない場合がある。また、アートと私がつながって、地域とアートがつながらない場合がある。つなぐ役割の自分が頑張り過ぎて、それぞれが自分としかつながらないというケースはよくある。

 「依頼力」とは常に自分のイメージや答えを持ち、相手に伝え任せることなのかもしれない。つなぐ仕事は、依頼が一方的にならないよう、双方に「依頼のキャッチボール」をしてもらい、関わる人たちの関係をつくることではないだろうか。互いに求め合い、任せることが地域の好循環にもつながる。

 【略歴】中之条ビエンナーレ出展を機に2018年から町地域おこし協力隊員として活動。任期後、定住し創作を続ける。長崎県出身。東京芸術大大学院修士課程修了。 

2022/7/24掲載