▼渋川市北橘町の木曽三社神社は本殿を眼下に見る珍しい「下り宮」。参道の途中で水路のある脇にそれると、大樹が日差しをさえぎってくれるおかげでわずかにほっとする。澄んだ流れをたどるように進む先に、泉がある

 ▼のぞき込めば、底の砂があちこちで渦を巻きながら噴き上がっている。地元の人たちが「湧(わく)玉(たま)」と呼ぶ湧泉である。水はキンと冷たく、一服の清涼感を味わった

 ▼神社は平安末期の武将、木曽義仲に由来がある。源頼朝のいとこにあたる義仲は平家を京から追いやるが、源範頼・義経の軍勢に討たれる。残った家臣たちが、主君の崇敬した信濃国の三社をこの地に移して創建したと伝わる

 ▼頼朝や義仲にまつわる伝承は県内に数多くある。頼朝は浅間山麓で大がかりな狩りをし、草津や川原湯に立ち寄った。義仲は幼少のころ中之条町六合地区にかくまわれた―

 ▼言い伝えの中には、史実かどうか意見が分かれるものもあるだろう。ただ、語り継がれている話やゆかりの地名などを手がかりに、当時その地域がどんな様子だったか想像してみるのも面白い。教科書で知った人物や出来事が、身近なところに結び付くかもしれない

 ▼NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で頼朝や義仲は姿を消したが、「13人」の中の安達盛長や、和田義盛の末裔の足跡も高崎市や玉村町にある。ゆかりを感じながらドラマ後半戦を楽しんでいる。