夏の尾瀬を代表するニッコウキスゲが大江湿原を彩る
 

 夏の日差しを受け、淡いだいだい色に輝く花々が、湿原を明るく彩る。尾瀬国立公園の中央部に位置する大江湿原(福島県檜枝岐村)で7月下旬、ニッコウキスゲが一斉に開花した。ハイカーたちは木道をゆっくりと歩きながら、両側に広がる花畑の風景を楽しんでいる。

 7月18日、尾瀬沼と大江湿原を訪ねた。午前5時半、大清水に車を止め、低公害バスで一ノ瀬へ向かう。一ノ瀬からは山道を1時間半ほど登り、三平峠を越える。

三平峠

 登山道沿いは清らかな沢が勢いよく流れ、水音が耳に心地よい。ブナ林の木々の間から、早朝の光が降り注ぐ。途中、湿った木の葉の間にギンリョウソウを見つけた。葉緑素を持たない真っ白な姿は少し不気味。ユウレイタケの別名を持つそうだ。

尾瀬の花々

 木立が途切れ、尾瀬沼の広々とした水面が現れた。対岸正面には燧ケ岳(ひうちがたけ)の悠然とした山容。晴れた空にトンボが飛び交う。青空を映す水面に、細かな波紋が浮かんでは消えた。ゆったりとした時が流れる。

尾瀬沼の向こうに燧ケ岳がそびえる

 湖畔を30分も歩けば、尾瀬沼ビジターセンターと山小屋の集まる一帯だ。県境を越え、ここは福島県。木造の趣ある山小屋「長蔵小屋」の玄関には、郷土玩具(がんぐ)の赤べこが飾られていた。

尾瀬で最も歴史のある長蔵小屋
長蔵小屋別館のカフェはしゃれた雰囲気
三平峠の下、尾瀬沼休憩所の広場で休む登山客も多い

 大江湿原は尾瀬沼から北東に広がる。ニッコウキスゲの群落ははるか遠くまで連なり、湿原をだいだい色に染めている。

 ワタスゲの穂も同時に見ごろを迎え、湿原の所々に白い群落が見えた。鮮やかな紫が目を引く、ノアザミやサワラン、カキツバタの花も咲いている。

白く揺れるワタスゲ

 湿原の端で引き返し、沼尻方面にも足を延ばす。思いがけず、再びワタスゲの群落と出合った。湿原のあちこちで、丸く白い穂がふわりと風を受けて揺れた。

尾瀬沼ビジターセンター

 【メモ】尾瀬沼ビジターセンター(福島県檜枝岐村)は昨年7月、リニューアルオープンした。木材を多用した広々とした館内は、尾瀬の成り立ちを解説する映像や生息する動物のはく製、見ごろの花の写真や職員の薦める尾瀬の見どころなどを展示。毎日2回、約30分のミニツアーも開く。尾瀬保護財団が管理運営し、巡回や植生復元も担う。開館は5月中旬~10月31日の午前7時半~午後4時。