「子育てをしていた時は夢中だったんですね。夜中におっぱいを吸わせないと出なくなると聞いて、なるほどと思いました。私は4カ月で自然に出なくなりました。知らないで育ててきたことがたくさんありました」。これは、当会の孫育て講座に参加した女性の感想です。

 少子化と言われ四半世紀がたちます。お母さんたちは妊娠や出産、子育てに迷いや不安を抱いています。そんなお母さんをサポートする周りの家族(特に祖母)も、多様化した現代の子育てに混乱しているようです。お風呂の入れ方や母乳育児の知恵、おむつのあて方から衣類の枚数まで、世代間で認識にズレが生じています。

 「健やかな孫の成長を見守る大切な役割を、私たち助産師と一緒に考えませんか」。母子を支援する祖母の役割について共に学ぶ機会をつくろうと、伊勢崎市の助産師が企画運営して1回目の講座を開いたのは2004年でした。その後、東日本大震災やコロナ禍で会場が使えない時もありましたが、年2回の講座は現在も続けています。

 この「おばあちゃんの孫育て講座」の開催を、いかに皆さんに知ってもらうかが課題になっています。参加者からは「出産や子育てに向け、助産師からいろいろな話を直接聞けて安心した。もっと多くの人が参加できればいいのに」との声を聞きます。

 1回の参加者は2~10組。少人数で助産師を身近に感じてもらい、気軽に質問できる場にしているのが特徴です。内容は、妊娠・出産・育児での心身の変化、母乳育児のウソホント、沐浴(もくよく)、赤ちゃんの能力に合わせた子育て、ベビーマッサージにつながるハンドマッサージで触れ合うことの心地よさを知ってもらうなど助産師ならではの視点です。

 子育て中のお母さんから、言われて・やってもらってうれしかったこと、悲しかったこと、つらかったことを聞き取り、結果を講座に反映させます。生の声なので、祖母世代も耳を傾けてくれます。

 妊婦とおばあちゃんになる実母・義母のほか、夫、実父・義父、実妹が参加することもありました。今後、孫育て講座をシリーズ化して遊びや食事、読み聞かせなどの内容でさまざまな職種が連携できればと考えています。

 子育てはいろいろな人の力を借りながらの団体戦です。父母が中心となり、周囲はその意向を聞きながら、良いタイミングで声がけや手伝いができるといいでしょう。祖父母が手を出し過ぎると、父親を育てるタイミングを逃してしまうこともあるので、「いい加減」がうれしいですね。

 個人情報保護法や「3密」回避によって、子育て中の母親に寄り添える機会が減っています。孤立した子育てでは不安が募ります。「いい加減」で子育て・孫育てができることを願っています。

 【略歴】助産師として35年活動。1996年、伊勢崎市内に出張型の助産院を開業。2020年8月から現職。群馬大医療技術短期大学部専攻科助産学特別専攻修了。

2022/7/28掲載