県警が作成した標語。チラシで周知する

 「詐欺は歩いてやってくる」―。特殊詐欺の被害を食い止めようと、県警は犯人がよく使う手口と本県の県民性を分析して独自の標語を考案した。2022年上半期(1~6月)に県警が認知した特殊詐欺の被害は前年同期比8件減の96件、4560万円増の2億330万円だったが、7月に入り急増している。単純明快なメッセージで、啓発が届いていなかった人に訴える狙いだ。標語を掲載したチラシを作り、高齢者宅を中心に配布している。

 「詐欺は―」は、県民が近距離の移動でも自家用車や社用車を使って目的地に乗り付ける“習性”に目を付けた。来客を迎える側は「車をどこに止めたの」などと尋ねることが多いが、特殊詐欺で現金を受け取る役の「受け子」らは徒歩やタクシーなどで移動することが多く、車を運転してきても車を見られないよう離れた場所に駐車するケースもあるため、怪しい人を見分けるポイントの一つになるという。

 「暗証番号を聞くのは犯人だけ」という標語も作った。警察官や銀行員を装って暗証番号を聞き出す手口の被害が多発しているが、実際に職業上の都合で暗証番号を聞き出すことはないことを端的にまとめた。

 県警は特殊詐欺の手口を10類型に分けて周知してきた。ただ、息子や孫など関係者を装い現金を受け取る「おれおれ詐欺」や、金融機関職員や警察官らを装ってキャッシュカードを別のカードとすり替えて盗む「キャッシュカード詐欺盗」などを網羅的に理解してもらうのは難しかった。特殊詐欺自体の存在は知りつつ、不審点を見抜けずに被害に遭ったケースが複数あることから標語を考案した。

 22年上半期の被害を手口別に見ると、「おれおれ詐欺」42件(前年同期比10件増)と「キャッシュカード詐欺盗」34件(同20件減)で全体の8割近くを占めた。「還付金詐欺」は1件(同1件減)だった。本県では金融機関で65歳以上のキャッシュカードによる振込限度額を引き下げる取り組みが進んでいるためとみられる。ただ、7月に入って被害が急増しており、生活安全企画課は「標語を新しい武器にして啓発を進めたい」とする。