▼企業の競争戦略研究の大家、米国ユタ大のジェイ・B・バーニー教授が提唱した企業分析の方法がある。「VRIO分析」と呼ばれ、持続的な競争力を確保するため、企業が備えるべき経営資源に目を向けた手法だ
▼利益を生み出すために必要な経済的価値、簡単には手に入らない希少性、模倣困難性、これらを生かす組織力。この四つを備える企業が厳しい市場で生き残っていけると説く
▼本県を分析するとどうなるだろうか。県民にとっては見慣れた自然も、都会の人には大きな経済的な価値を持つだろう。都心から新幹線を使えば1時間半ほどでたどり着ける自然とそれらを生かしたアクティビティー、豊富な温泉、多様な農畜産物の組み合わせは、希少性も模倣困難性も兼ね備えている
▼では、これを生かすための組織力はどうか。地元を褒める気恥ずかしさもあって「群馬にお薦めできるようなものはないよ」と、つい口にしてしまったことはないだろうか
▼県民が自信を持って魅力をアピールしなければ、群馬の良さも県外の人には伝わらない。もっと県民一丸となってPRする必要がある
▼本県のかじ取りを担う知事を選ぶ選挙まで1年を切った。再選出馬を表明した山本一太知事は「新たな県民の誇り育成」を訴えている。その言葉を聞きながら、群馬を盛り上げるためには、県民にこそ意識改革が必要なのではないかと感じた。