▼水上温泉の一角、利根川を見下ろす崖の上という絶好のビューポイントにありながら、廃業後20年近く放置されていたホテルが撤去された。廃虚と化して温泉地のイメージ低下を招いていた懸案が解決、住民や観光関係者は胸をなで下ろしている

 ▼みなかみ町には、他にも廃業した宿泊施設が数軒ある。2軒の撤去が決まっているものの、それ以外は手つかず。住民らが取り壊しを求めているが、なかなか前進しない

 ▼同様の問題は県内外の温泉地でも起きている。廃虚化した宿泊施設は、治安や景観に悪影響を及ぼす。だが、高額な費用、所有者や管理者が分かりにくいといった理由で放置される

 ▼国も動き出している。昨年度は観光拠点再生などを支援する補助事業、本年度は観光地再生やサービスの高付加価値化を後押しする補助事業を展開。廃虚化した宿泊施設の撤去も対象としており、県内では同町を含む複数の自治体が活用した

 ▼国が乗り出したことは歓迎できるが、それですべてが解決するわけではない。跡地の活用、個人客の増加やワーケーションといった新しい旅行への対応など、考えなければならないことは多い

 ▼大切なのは廃虚の撤去を地域全体を元気にする取り組みにつなげていくことだろう。観光客が何度も足を運びたくなる場所にするには、どうすればいいのか。アイデアとそれを実現する行動力が求められている。