利根川で「パックラフト」のガイドをして、笑顔を見せる宝利さん

 強い日差しの下、若者たちがパドルの使い方に苦戦していた。みなかみ町の利根川で7月上旬に開かれた1人乗りのラフティングボート「パックラフト」のガイドツアー。その中に、乗り方を基礎から教えている宝利誠政(ほうりともゆき)さん(46)の日焼けした笑顔があった。

 アウトドアガイド会社「ワンドロップ」の社長。豊かな自然とアウトドア活動の楽しさに触れ、2005年、町に移住した。町内のガイド会社に10年余り勤めた後、同僚の須田建(たける)さん(33)と18年に同社を設立。谷川岳を望む同町上牧の高台に事務所兼自宅を構えた。

 ガイドを徐々に増やし、社員4人とシーズン雇用の計10人で登山や湖上カヌー、パックラフト、雪山歩き、スキーやスノーボードのバックカントリーツアーを企画し魅力を伝えている。

 19年は1年目の2倍近い客を案内した。20年はさらに倍の来客を目標にしたが、3月に新型コロナウイルスの感染が拡大し、状況は一変。バックカントリーの週末ツアーを中止した。「えたいの知れない病気で、感染したらどうすればいいのか、症状や致死率のデータもまだなかった」。平日ツアーも取りやめた。

 「ステイホーム」で人目が気になり、ガイド自身に不可欠なトレーニングも2カ月ほど全くできなかった。登山中にけがをすると、コロナ感染者を治療する病院に運ばれるため、日本山岳ガイド協会から活動中止を促す通知が届いた。

 感染拡大前、知り合いの喫茶店主に声をかけられ、同町湯原の複合店舗にアウトドア用品店を出すことを決めていた。アウトドアが盛んな町なのに用品店がないのが気になっていた。20年4月の開店に向けて準備していたが、緊急事態宣言発令に伴い、1日に開店しただけで長期休業するしかなかった。本格的な開店後も来店者数は伸び悩み、オンライン販売も手がけるように。コロナが新たな販売形態を後押しする格好になった。

 ツアーは1回目の緊急事態宣言の解除後に再開。感染状況に応じて、1団体限定で開くなど細やかに対応している。予約は昨年から戻り始めていたが、今夏の感染拡大で再びキャンセルも目立ち始めている。

 「県内外の人たちにみなかみの山や川、湖で自然に触れて楽しんでほしい。そのためのより良い環境をつくっていきたい」。コロナと折り合いを付けながら、創業時の夢の実現を思い描いている。