安倍晋三元首相が凶弾に倒れ、政府が国葬を行うと決めたことを巡り、共同通信社が実施した全国電話世論調査と同様、県民の間でも賛否は割れた。歴代最長となった政権運営と日本の顔として外交などに取り組んだ功績、森友・加計学園や桜を見る会などの疑惑を踏まえ、安倍氏への評価が交錯した。さらに国葬を進める岸田文雄首相にも、実施基準や方法について丁寧な説明を求める声があった。

 「世界のリーダーの中でも中心的存在。外交や経済政策などで実績を残し、国民にも親しまれた」。会社役員の武井憲一さん(68)=高崎市正観寺町=は国葬に賛成の立場だ。「国葬の基準が決まっていれば、一層理解を得やすかったのではないか」と話した。

 NPO法人理事長で慶応大4年の小高広大さん(23)=同市日高町=は「在任期間が長くて親しみがあった。突然亡くなり残酷さもあるため、行うことに賛成」と述べた。大規模式典で、各国の要人が集まる外交のチャンスでもあるとした。経費は「国民から寄付を募るのも良いのでは」と提案した。

 会社役員の大須賀幸雄さん(67)=桐生市天神町=は「憲法改正をはじめ政治的な考え方が自分と似ていて、身近に感じていた。国葬を実施することにも納得できる」と賛同した。

 一方、大学講師の白石玲子さん(60)=前橋市大利根町=は「絶対反対」と強く主張する。「非常にかわいそう」だが、数々の疑惑が未解明で、国葬には納得できないという。会社員の小林達也さん(69)=同市富士見町=は「ノーベル賞を取った人なら分かるけど」と、評価が分かれがちな政治家を国葬とすることに疑問を呈した。

 事務職の竹内友紀さん(32)=同市表町=は、森友・加計学園問題をはじめとする安倍氏周辺の動きに不透明さを感じ取る。「哀悼したい気持ちはあるが国葬には反対。世論を聞かないまま国民の税金を使うのはいかがなものか」と語った。銃撃事件で取り沙汰された世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係も解明しなければ、追悼できないとする声もあった。

 「難しいよね」と考え込むアルバイトの細野真さん(73)=同市天川大島町=は「本来、国葬でもおかしくない」と認めるが、国民が分断されないよう「希望者が参加できる他の方法を模索すべきだ」とした。