最近、多くの本を読んでいます。群馬を拠点に音楽活動を始めて10年ほど。そろそろピアノの新しい方向を探りたいと考え、「群馬イノベーションスクール(GIS)」に参加したのがきっかけです。

 新しい考えで社会課題を解決しようという趣旨で、内容はMBA(経営学修士)に近いものです。イノベーションは異なる業種の新しい組み合わせで起こること、何より大切なのは経営理念を持つことなど、内容は納得できる概念やモデルばかりで、それぞれの事例も含め講義では毎回、とてもワクワクしています。

 新しいものを生み出すというと、先進的なITと組み合わせて考えることが多くなります。ただ、ピアノ演奏や教育とITとなるとなかなか難しい。アコースティックなピアノだからこそ、音を届けることに関してはオンラインではなく、リアルでの体験を前提に考えたいという思いが強いこともあります。

 結局そこで行き詰まり、自分が何をやりたいのか、何を面白いと感じているのかを、原点に戻り突き詰めて考えてみました。

 ピアノを演奏すること、またレッスンでそれを伝えることに関しては、体の使い方や楽譜の深い読み方、演奏時のマインドなども含め、多くの知識を身に付け実践も重ねてきました。教室経営やイベント企画についてもマーケティングや会計を勉強し、役に立っています。

 その上で何が一番かと考えた時、ピアノを学ぶこと自体、そしてそれがその後どう役に立つのかという点に興味を持っていることを「発見」しました。ピアノを学ぶことでどんな能力を伸ばすことができ、それが自分自身に、また社会にどう役立つのかという視点です。

 ここでやっと方向が定まりました。ピアノを学ぶことで楽器が演奏できるようになるだけでなく、その他にどんな利点があるのか。つまり音楽プラスアルファの部分です。

 最近は大学の教養課程でも基礎的な教養を身に付ける観点で音楽が語られることが増えました。ピアノは音楽の基礎と位置付けられるので、人間の幅を広げる教養として学ぶという意味付けをできるのではと考えています。

 これまで目の前の仕事をこなすことに気持ちが向き、改めて勉強する時間をつくることができませんでした。今回のように、地元に学ぶ機会があるのはとてもありがたく大切なことだと感じました。

 人生100年時代、常に新しい考えを取り入れていくことが必要でしょう。GISが大きなきっかけとなり、新しい方向性がおぼろげながら見えてきたことは、私にとって大きな成果です。また、人との新たなつながりの中で多くの発見もあります。読者の中に、音楽に関連して社会に役立つアイデアをお持ちの方がいれば、ぜひ一緒に創っていきたいと願っています。

 【略歴】ソロ演奏会をはじめアンサンブル、伴奏、オーケストラとの協演など多岐にわたって活動する。元高崎演奏家協会長。前橋高卒。ウィーン市立音大首席卒。