練習に励む吹奏楽部員。甲子園での応援とともに、校歌を歌うのを心待ちにしている
群馬大会決勝で優勝した樹徳ナイン=7月27日、前橋市の上毛新聞敷島球場

 夏の高校野球群馬大会をノーシードから勝ち上がり、30年ぶり3度目の甲子園出場を決めた樹徳高校(群馬県桐生市)は、校歌が二つある珍しい学校だ。作られた時代や曲調は異なるが、いずれも目指す学校の姿を歌に託している。女子校から共学に。学校の歩みを現しているとも言える二つの曲を、生徒は大切に歌い継いでいる。

高校野球は男子校歌

 二つの校歌のうち、高校野球で演奏されるのは、「男子校歌」だ。軽やかな曲調に乗って、地元桐生の風景や、生徒のはつらつとした姿が歌われる。終盤の「ああ樹徳 樹徳」というフレーズは、群馬県の高校野球ファンにはよく知られている。

樹徳高校 男子校歌
作詞 中田浩一郎 作曲 芥川也寸志

ひかりと風に あらわれて
むらさきに  赤城はけむる
理想に燃えて 陽は昇り
道はかがやく 真実の教え
ああ樹徳 樹徳 われらの樹徳高校

(1番抜粋)

 1960年4月、同校に男子部が設置されたのを機に作られた。完成したのは卒業式が迫った63年2月末。歌の練習は3回しかできなかったものの、式では木造の講堂に高らかな歌声が響いたというエピソードが伝わっている。

歴史のある女子校歌

 もう一つ、より歴史があるのが「女子校歌」。同校は1914年に創立した裁縫女学校がルーツで、樹徳高等女学校に改称した46年にこの歌ができた。流行歌を多く手がけた高橋掬太郎さん、飯田三郎さんコンビが作詞、作曲し、男子校歌と比べてゆったりしているのが特徴だ。

樹徳高校 女子校歌
作詞 高橋掬太郎 作曲 飯田三郎

 風かぐわしく 流れ澄む
  美し桐生よ  花あり我ら
  希望の鐘   光を仰ぎ
  心磨かん   いざいざ友よ
  樹徳 樹徳  楽し学舎

(1番抜粋)

 樹徳高校は創立100周年を経て、2017年度の入学生から男女でクラスを分ける「併学」をなくし、全面的な共学にした。校歌をどうするかも検討されたが、どちらにも卒業生らの思い出があるとして、二つとも残すことにしたという。今も入学式や卒業式などの式典や月1、2回の朝礼の際に、二つの校歌を歌っている。

 3年の須賀真梨奈さんは二つの校歌について「入学したときは新鮮だった。男子校歌は口ずさみやすく、女子校歌は滑らかなメロディーで、それぞれの良さがあると思う」と話す。須賀さんが所属する吹奏楽部は甲子園で応援の中心となる。「野球部を勇気付けられるような演奏をしたい。そして球場で校歌を歌いたい」と楽しみにしている。

 樹徳高校が甲子園に初出場した1991年、吹奏楽部員として球場で応援した教諭の渡辺秀明さん(49)は、今回は同部の顧問として甲子園を迎える。「応援する生徒たちにとっても貴重な経験。伸び伸びと楽しんでほしい」と願っている。

 樹徳高校の初戦の相手は大分代表の明豊高校。6日に予定される大会第1日の第2試合で対戦する。