広瀬川・比刀根橋近くの慰霊碑で開かれた慰霊追悼式
前橋八幡宮では慰霊の太鼓の音が響き渡る中、参列者が静かに祈りをささげた
前橋空襲体験者の証言集を朗読する中村ひろみさん
清光寺で行われた追悼法要

 530人余りの犠牲者が出た前橋空襲から77年となった5日、群馬県前橋市内の各地で慰霊行事が行われた。広瀬川に架かる比刀根橋近くの慰霊碑で慰霊追悼式が開かれたほか、市内の宗教施設で一斉に鐘や太鼓が鳴らされた。市民は犠牲者の冥福を祈り、平和への思いを新たにした。

 同日午後4時50分、同市本町の前橋八幡宮で慰霊の太鼓の音が響き渡ると、参列者らは静かに祈りをささげた。宮沢克典宮司が祝詞を読み、前橋学市民学芸員の深沢泰明さん(79)が空襲当時の様子について解説した。参列した前橋商業高3年の女子生徒3人は「若者の参列者が少ない。パンフレットを作って同世代に前橋空襲を広めたい」と話した。

 広瀬川沿いの慰霊追悼式は、地元の住吉町二丁目自治会(山口浩一会長)が開催した。子どもからお年寄りまで約60人が参列し、小雨が降る中、静かに手を合わせた。前橋敷島小6年の柳沢多緒さんと5年の瀬谷色愛(いるあ)さん、群馬大付属小5年の栗田麗生君の3人が「みんなで助け合い、平和と命の尊さを語り継いでいく」と誓った。

 同自治会が運営していたあたご歴史資料館(2020年3月末閉館)の元学芸員、原田恒弘さん(84)はロシアのウクライナ侵攻について、戦争当時の日本と似ている部分があるとし、「悲惨な歴史を繰り返さないため、自分事として捉え、私たち一人一人が平和を考えていかないといけない」と訴えた。

 同市千代田町の複合施設「CHOCOLATE(チョコレート)」の前では、演劇プロデュースを手がける中村ひろみさん(58)が前橋空襲体験者の証言集を朗読し、その様子をSNSでライブ配信した。朗読は6、9、15日にも行う。

 同市千代田町の熊野神社は実話を基に作られた絵本を参拝者に配布し、夕方には紙灯籠を点火した。空襲が始まった時間帯に合わせ、午後10時半ごろから鎮魂のための神事を執り行った。同市大手町の清光寺(高橋審也住職)も追悼法要を行った。