ここ数年、中高生のお子さんを持つ親御さんから、「子どもがスマートフォンをいじってばかりで心配だ」という相談を受けることが増えた。実際、中高生のスマホの平均使用時間は年々増加している。その傾向は特に高校生に顕著で、高校生の半数が1日4時間以上スマホを利用しているそうだ。

 確かにスマホは面白い。月に千円ほど支払えば、動画配信サービスを通じてドラマや映画が見放題だ。有料のサービスを使わなくとも、無料の動画サイトや交流サイト(SNS)、「ソシャゲ」と呼ばれるスマホゲームでいくらでも時間をつぶすことができる。私が高校生の頃にスマホが普及していたら、受験勉強を乗り越えられたかどうか、自信がない。

 『スマホ脳』の著者で精神科医のアンデシュ・ハンセン氏によれば、私たちがスマホに依存してしまうのは、脳科学的にみて当然のことだという。意志の強い弱いにかかわらず、スマホを使い過ぎてしまうことは致し方のないことなのだ。

 そうは言っても、スマホも悪いことばかりではない。分からないことがあればすぐ調べることができるし、勉強や作業の効率を高めてくれるアプリもたくさんある。

 SNSを通じて、これまでだったら出会うことのできなかった遠くの人とも友達になれる。実際私は、SNSを通じて知り合った海外の友人と毎週電話しており、私は日本語を友人に教え、友人は英語を私に教えてくれている。

 大事なのはスマホとどう付き合っていくかだ。

 いくらスマホが楽しく、役に立つものだと言っても、毎日4時間も5時間も向き合っていることは良いことだとは言えない。実際、スマホの使い過ぎは集中力と記憶力を大きく下げることも分かっている。

 スマホとうまく付き合っていくために、私が日ごろ実践していることを三つ紹介しよう。

 一つ目は、画面の色を白黒に設定すること。こうすることで視覚的な刺激が抑えられ、依存しづらくなることが科学的に明らかになっている。私はこの方法を用いてから、使用時間を3割減らすことができた。

 二つ目は、何か作業する時は別の部屋にスマホを置いておくこと。物理的に距離を置くことは、悪い習慣を断ち切るための最善の方法だ。

 三つ目は、スマホを置いて散歩に出かけること。一定の時間、スマホなどを触らないようにする「デジタルデトックス」は、精神的な疲れを取り、睡眠の質を高める働きがある。

 今やスマホは、私たちの生活になくてはならないものだ。そんな時代だからこそ、スマホとの関係を見つめ直し、適切な距離感で付き合っていく必要があると考える。

 【略歴】百人一首競技かるたで2019年~21年の名人位。大学受験中心のオンライン個別指導塾「となりにコーチ」を経営。安中市出身。中央中等教育学校―京都大卒。

2022/8/6掲載