▼どうやら今年も香ばしく焼き上がり、脂の乗った塩焼きにありつけそうもない。北海道の港で先週、サンマ漁の初水揚げがあった。低調なスタートという。港近くの鮮魚店は〈大赤字の販売! 1匹300円〉と売り出す

 ▼初物ということもあろうが、この先も「高級魚並み」とも言われる価格が続きそうだ。スーパーをのぞくと、冷凍物が1匹198円(税別)。塩焼きは我慢し、サンマの開きでうまさを味わうとしよう

 ▼本土復帰前の沖縄で琉球政府を相手に異例の裁判をしたおばぁ、玉城ウシを描いた『サンマデモクラシー』(山里孫存(まごあり)著)をお盆休みに読んだ。ウシは関税を巡る米国の暴挙により大衆魚のサンマが高値になったことへ怒りの声を上げた

 ▼海水温の変化、水産資源の乱獲など理由はさまざまだが、手が届きにくくなるほどの高値には「ガッティンナラン」(合点がいかない)と口にしたくもなる

 ▼同名映画を基にする同書は復帰運動に火を付けることにもなったウシの行動や周囲の動向を追い、「民主主義とは何か」を問う

 ▼本筋ではないが〈全国ニュースはわずか四十秒〉という項目に目が留まった。2004年8月13日、沖縄国際大に米軍ヘリが墜落した事故に対する関心の低さのことだ。日航ジャンボ機、県防災ヘリの事故と同じ時季に沖縄であった惨事。群馬からも沖縄の米軍基地問題を考えねばいけないと自戒した。