▼2021年度の男性県職員の育児休業取得率は24.4%だった。ここ数年で大幅に上昇したものの、女性職員の97.9%に比べるとかすんで見える。厚生労働省が発表する取得率も同じような傾向だ
▼改正育児・介護休業法により今年4月、子どもが生まれる社員への取得の意向確認が義務付けられた。来月には新たに「産後パパ育休」がスタート。大企業は来春から男性の取得率を公表しなければならなくなる。状況改善に向かうだろうか
▼女性活躍推進に積極的な県内企業を応援する上毛新聞社のキャンペーンの一環で、石井食品(千葉県船橋市)の石井智康社長の話を聞く機会があった
▼「上場企業トップが育休を1カ月取得」と話題になった石井社長。「男性の育休に限らず、長期休暇は会社や社員にとって『いいことしかない』」とし、社員に取得を促しているという
▼休んだ本人がリフレッシュできるのは当然だが、同僚がその人の仕事を覚えたり、イニシアチブを発揮するようになる。こうした経験を通して、特定の人しかできない仕事が少なくなれば、経営リスク軽減につながる
▼男性の育休取得が広がらない理由の一つが「職場に迷惑をかけたくない」との気持ち。だが、会社を休んでも仕事が回るなら安心だ。そうした体制を整え、積極的に利用していく。それが男女を問わず、仕事と家庭を両立できる社会への第一歩になる。